「森」で子どもの力が伸びる!?

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2018/12/07 12:00

今、“森を活用した保育・幼児教育”に注目が集まっています。 小さなお子さんを子育て中のお母さんお父さんに手に取っていただきたい本をご紹介します。

IQでは測れない「生きる力」を「自然体験」が育てる

 今、国際的に「幼児教育」「自然体験」の大切さが注目されています。

 ノーベル経済学賞を受賞したシカゴ大学のジェームズ・J・ヘックマン氏の研究では、「幼児教育」を受けた子どもは学歴が高く、収入が多く、生活保護受給者や逮捕者率が低かったことが、追跡調査でわかっているのだとか。

 そして「幼児教育」として大事なのは、文字の読み書きや計算といった知能指数で測れる力を伸ばすことではなく、「非認知能力」つまり、自制心や忍耐力、社交性や思いやり、自尊心といった、いわゆる「生きる力」を育むことが大事なのだそうです。幼児期に育まれた生きる力は、一生のベースとして、その後の人生において大きな影響を与えると研究で明らかにされています。

 この生きる力を育てるために有効なのが、「遊び」であり「自然体験」なのです。

 ひと昔前は、近所の自然の中でのびのびと遊ぶことができたものですが、現在はそれが難しくなってきていることから、改めて自然体験の大切さが注目されています。

正解のない問題に対応できる子どもを育てるために

 2020年から小学校で全面実施される新しい学習指導要領では「主体的で対話的な深い学び」を取り入れた授業を実施していくことが決まっています。

 この戦後最大の教育改革のコンセプトは、“正解”のない問題に自分なりの答を見つけ解決していく能力、いわば非認知能力を養う、です。

 スピーディに正確な計算をすることも、寝ずに作業をこなすことも、AIにお任せできる時代がすぐそこに来ているからですね。

 非認知能力とは、どうやったら身につけられるのか? へこたれずに自ら挑んで解決法を探し出す力はどうしたら身につくのか?それに応える意味でも、今、“自然を活用した保育・幼児教育”に注目が集まっているのです。

 日本は、国土の7割が森林という森林大国。未来を担う子どもたちの豊かな育ち、教育に、自然の活用がますます取り入れられていくといいですね。 

森と自然を活用した、保育、幼児教育ガイド

『森と自然を活用した保育・幼児教育ガイドブック』公益社団法人 国土緑化推進機構 (編)、森と自然の育ちと学び自治体ネットワーク(編集協力) 風鳴舎(刊)ISBN978-4907537166 B5判/192p/巻頭カラー+1C

『森と自然を活用した保育・幼児教育ガイドブック』公益社団法人 国土緑化推進機構 (編)、森と自然の育ちと学び自治体ネットワーク(編集協力) 風鳴舎(刊)ISBN978-4907537166 B5判/192p/巻頭カラー+1C

 教育学者や研究者たちへのインタビュー、海外研究報告、実践者たちの先端事例などを満載したガイド。

目次

 巻頭カラーページ:小西貴士(写真家・森の案内人)「森を活用した保育の1日」「自然の中で育つ子ども達の春夏秋冬」

 巻頭カラーインタビュー:

 ・汐見稔幸先生(東京大学 名誉教授)-「森と自然の保育・幼児教育」によせて

 ・秋田喜代美先生(東京大学大学院教育学研究科 教授/同附属発達保育実践政策学センター センター長)-子ども達の豊かな経験を保障するには環境に多様性が必要

 ・尾木直樹先生(尾木ママ)(法政大学 特任教授/臨床教育研究所「虹」所長)-暮らし・生業とつながる、森と自然を活用した保育・幼児教育のススメ

 ・鈴木みゆき理事長(国立青少年教育振興機構)-幼少期からもっと自然体験活動を~森と自然を活用した保育・幼児教育のますますの促進

 序章:「森と自然を活用した保育・幼児教育」とは

 第1章:「森と自然を活用した保育・幼児教育」の教育的意義

 第2章:「森と自然を活用した保育・幼児教育」が生み出す効果

 第3章:世界の「森と自然を活用した保育・幼児教育」の社会化の潮流

 終章:「森と自然を活用した保育・幼児教育」の社会化に向けて

 事例編(1)自治体・団体による取り組み事例【17事例掲載】

 事例編(2)保育所・幼稚園・認定こども園等による取り組み事例【27事例掲載】

COLUMN

 無藤 隆(白梅学園大学院 特任教授)-「幼稚園教育要領」改訂からみる環境を通して行う教育

 大豆生田 啓友(玉川大学教育学部乳幼児発達学科 教授)-倉橋惣三の保育論を 21 世紀に活かす

 仙田 満(環境デザイン研究所 会長/東京工業大学 名誉教授)-子どもの環境?環境デザインの視点から

 瀧 靖之(東北大学加齢医学研究所 教授)-子どもの〝脳〟を育てる偉大な自然 脳科学の視点から

 井上 美智子(大阪大谷大学教育学部 教授)-幼児期の子どもと自然との関わり

 藤森 平司(新宿せいが子ども園 園長/保育環境研究所ギビングツリー 代表)-森や自然は可能性を無限に秘めた最高の保育環境─「見守る保育」より

 武田 信子(武蔵大学人文学部 教授)-子どもの育ちに良い環境と子育て支援

ドイツに学ぶ、森と自然の中での教育

『森の幼稚園』イングリッド・ミクリッツ (著)、公益社団法人 国土緑化推進機構 (監訳)、 風鳴舎(刊)ISBN 978-4907537159 A5判/400p/1C

『森の幼稚園』イングリッド・ミクリッツ (著)、公益社団法人 国土緑化推進機構 (監訳)、 風鳴舎(刊)ISBN 978-4907537159 A5判/400p/1C

 デンマーク発祥、ドイツで国中に普及した、森の中で保育を行う「森の幼稚園」の教科書。ドイツでは第6版にまでなっているロングセラーの初の日本語訳本。

目次

 第1章 森の幼稚園の基礎

 第2章 保育者が知らなくてはならないこと

 第3章 森の幼稚園での教育実践

 第4章 保護者との共同作業

 第5章 森の幼稚園の組織

 第6章 資金源を開拓するー社会的スポンサーシップ

 第7章 法的基盤と公的基準

 第8章 どのように森の幼稚園を設立するのか

 第9章 研究結果ー森の幼稚園についての研究

 第10章 付録

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