液体ミルクって何だろう?

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2018/12/19 12:00

度重なる災害で注目を浴びた「液体ミルク」。日本でも法令が改正され、国内での製造・販売が可能となりました。でも、液体ミルクって一体何なのでしょう? 勉強会が開催されたので参加してきました。

 突然ですが、液体ミルクをご存知ですか?

 江崎グリコが実施した調査では「液体ミルクについて知っているか」という問いに対して、知っていると答えた人は2018年10月時点で37.1%。多くの方にとって「液体ミルクをという言葉を聞いたことがあるような、知らないような……」というのが正直なところかと思います。

 そこで本記事では先日開催された液体ミルクに関する勉強会の内容をご紹介します。

そもそも液体ミルクとは?

 液体ミルクは粉ミルクと同様に母乳と同じ栄養成分を目指したもので、成分的にも粉ミルクとほとんど変わりません。調乳済みなので、お湯や水で溶かす必要も温める必要もありません。主に紙パックに入っているものが多いので、消毒した哺乳瓶などに移し替えればすぐに飲ませてあげられます。

こんな感じで移すだけ
こんな感じで移すだけ

 もちろん、新生児が生まれたその日から飲むことができます。欧米では女性の社会進出を背景とし、1970年代頃から普及しています。フィンランドでは約9割が液体ミルクを使用しているのだそうです。

海外の液体ミルク
海外の液体ミルク

 日本では今年の8月4日に法令が改正され、製造・販売が可能となりました。現在、江崎グリコ(以下、グリコ)が液体ミルクの開発に成功し、来春の認可を目指して準備を進めています。

グリコの液体ミルク
グリコの液体ミルク

成分と安全性

 粉ミルクや液体ミルクは消費者庁が定める特別用途食品に該当します。グリコが開発した液体ミルクもこの認可を得るべく、特別用途食品の規格・基準に則った栄養成分で設計されています。

 その中でも特にタンパク質の種類とバランスを母乳に近づけることで、赤ちゃんの消化・吸収に配慮。また、赤ちゃんに重要とされるアミノ酸、タウリンを配合し、脂質も脂肪酸の種類とバランスを母乳に近づけているとのことです。

 液体ミルクの特徴は常温保存の期間。商品によりますが、半年~1年ほどは常温保存が可能です(グリコの液体ミルクは半年間の保存が可能とのことです)。何故それが可能なのでしょうか?

 キーワードは殺菌とバリア性の高い容器への充填です。

 液体ミルクを高温で素早く殺菌し、無菌状態で6層構造の紙パックに充填することで、安全性を保つそうです。ポリエチレン、紙、アルミ箔が合わさった容器は光や酸素を通さないので、飲み物の栄養や美味しさをしっかりと守ってくれます。

アルミ箔の層が光と酸素の侵入を防ぎます
アルミ箔の層が光と酸素の侵入を防ぎます

 液体ミルクの安全性は乳糖省令の常温保存可能品という規格・基準に則ります。認可されるためには、無菌性のテストをパスする必要があります。

 たとえば保存期間中、一般細菌数が常に0であるほか、大腸菌群やサルモネラ族菌など、健康被害の考えられる微生物もすべて陰性であることが証明される必要があるとのこと。

 グリコでも何度もテストをして安全性を検証し、6ヵ月という賞味期限を実現するに至ったそうです。

 殺菌保存をするとミルクの栄養成分が減少するのでは? と思う方もいらっしゃるかもしれません。その点は配合時に殺菌されることを加味して、数多くの原料を一つひとつ丁寧に計量されています。

 赤ちゃんが口にするものだから安心・安全を第一に作られていることは、粉ミルクや他の食品と変わりないわけです。

液体ミルク開発の背景

 そもそも、なぜグリコは液体ミルクの開発に乗り出したのでしょうか? きっかけは、2016年の熊本地震でした。

 度重なる余震によって、ライフラインの復旧がとても困難な状態で、災害弱者である赤ちゃんの生命が脅かされるという報道も。そんな中で、フィンランドの液体ミルクが届けられるニュースがありました。

 そのニュースに触れた子どもを持つ社員たちの間で「国内産のものがないよね」「日本のお母さんたちに安心して子育てしてもらうために、国内製造のものがあったら」という話に展開したそうです。

 また、母親でもある社員からは「災害時だけでなく、体調を崩して味見ができない時や、パパにミルクを作ってもらう時、濃度を間違えることなく適切な栄養を与えられる」との声も。

 こうして、グリコは液体ミルクの開発をはじめました。

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