手放す先にあるもの

 前回、私の母が亡くなったことを書かせていただきました。今回は母の遺品整理に関して綴りたいと思います。

 埼玉での母の葬儀が終わった後、家族に先に家へ(愛知県 豊田)帰ってもらい、父と三日かけて、母の遺品を整理しました。

 小さな母の部屋からは、たくさんたくさん母の想いが詰まったモノが出てきました。

母の書

 母はお裁縫の会をやっていて、素敵な布をたくさん集めていましたが、その布やミシンなどは、その会の方にお譲りしました。

 服、バック、既製品のものはほとんど袋に入れて整理したものの、母の手作りの服を見つけた時、涙が出てきて、作業がなかなか進みませんでした。

 しかし父一人で後でやるなんてことも難しいと思ったので、母の姉、父と三人でなんとか整理しました。

 「母そのもの」の品は「純子ギャラリー」へ。母の使っていた部屋を小さなギャラリーにして、母の絵手紙や書作品、読んでいた本、使っていた道具、また季節ごとに着ていたもの、身に着けていたものを飾っています。

純子ギャラリー
純子ギャラリー

 古布や、かっぽれの道具(母は江戸芸かっぽれの師範でもありました)、これは10袋以上譲りました。

 母はもんぺのようなパンツが好きでよく作っていましたが、それは私が使うことに。大きなダンボール3箱分になりました(そんなにいるのかな 笑)。

母の作ったもんぺ
母の作ったもんぺ

 三人でわいわい笑いながら、泣きながら、これらなんと合計170kgの量の荷物を三日に分けて、リサイクルセンターに車で運んだのでした。

 母の生きた証。母の大きなパワー。遺品整理と聞くと「大変!」と思うけれど、母のかわいいところ、素敵なところ、面白いところ、チャーミングなところ、たくさんの思い出と共に、たくさんの愛おしいものを整理できて、私は嬉しかったです。遺品整理は、勢いとタイミングが大事だと思います。

 豊田に帰り、もらった母の写真を見ていたら、母のドジョウすくいを踊っている、かわいいかわいい写真が出てきました(母はドジョウすくいも習っていました)。

 桜の木の下でみんなを巻き込み、それはそれは楽しそうで。。。

 その時は、私はドジョウすくいなんて恥ずかしいと思っていたのですが…

 思わず「ドジョウすくいの道具は、ドジョウすくいをやっている人に譲ろう」と言っていた父に、「道具がまだあれば、私に譲って欲しい」と電話していました。

 父は泣きながら「ああ、純子さんが喜ぶね。喜ぶね」と言いました。

 先日、やっと私の元にドジョウすくいの道具が届きました。さあ! 私も桜の咲く頃、みんなを巻き込み、ドジョウすくいを踊ろうかな!!

手放し始めた私

 「ああ、たのしかった。ありがとう

 と亡くなった母。覚悟を決めた人を目の前で見ることができて良かった。

 母の死と遺品整理、母の生き方、母の死に際して関わったたくさんの人から愛を受け取った私、最近考え方が変わってきました。

 たくさんのモノに囲まれていても、死ぬ時は魂一つです。

 今、私の目の前にあるものは、ほとんどなくてもよいもの。なくったって、生きるのに何の不便もない。「自分」というものにこだわり、考えること、手放したいなあ…と。

 それで自分のモノについての価値観を手放してみました。

 私は本が大好きで、本に囲まれることが幸せだと思ってきましたが、1月から2月にかけて、本を200冊以上手放しました。

 今の私には必要ないものでも、誰かのお役に立てれば、それはそれで嬉しい。

 コツコツ、フリマアプリで一カ月売っていったら、200冊以上の本が、10万円ほどになりました(そのお金で、家族で旅行をしようと思っています)。

 必要なものってなんだろうね。これからは何を手放し、何を楽しもうか、ワクワクしています。手放すと、今必要なものが入ってくるような気がするから。

 私の「」は「モノ」よりも大切なもの。

 それが何かは人それぞれですが、私は家族や人や自分を大切にしたい。心を持って大切に日々を過ごしたい。心豊かに過ごしたい。

 そこにはオシャレや流行はなくていい。自分を着飾ったりしなくても、「私は私」と言いたい。

 自分も自然の一部で、何も持っていなくても幸せだと思うから。泥臭く、根をはり、生きていきたい。

 大切なものが目の前に見えている。今私は幸せです。

採れたて野菜を台所の流しで洗う。優しい光があたり、大好きな瞬間
採れたて野菜を台所の流しで洗う。優しい光があたり、大好きな瞬間。
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Writer PROFILE

  • tomomiさん

    Instagram: @tomomi_nikoniko


     愛知県「にこにこ農園」japan。farmer。
     じいちゃんばあちゃん旦那さんとたくましい露地野菜と貸し農園、減農薬のお米を作ってます。農業18年目。農家の嫁です。

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