「怒り」は、人にぶつけるのも、ぶつけられるのも嫌。ですが、なぜかうまくコントロールできないときもあります。そんなときは、「怒り」という感情を分解して、自分を振り返ってみましょう。

瞬間的に湧き上がってきた「怒り」

 生きていく上で、「怒り」という感情の整理は、大切です。

 昔は私も、感情や思考の整理が上手くいかず子供を怒りすぎてしまい、後で冷静になったときに猛省することがたくさんありました。大人なんだし、もっと自分の感情と上手く付き合えたらいいな……と思いながらも、上手くいかず。

 しかし、10年前にハッとする出来事がありました。

 その日、私はいつも通りに夕飯の買い物をしていました。買い物袋を持ってくるのを忘れたことに気づき、

 「すみません、レジ袋をいただいてもいいですか?」

 と店員さんにお願いしました。

 すると、店員さんは横目でチラッとこちらを見て、「ハー……」とため息をつき、「はい、どうぞ!」と袋を渡してきました。

 その態度に腹が立った私は、瞬間湯沸かし器のように頭に血が上り……

 「ちょっと、あなたね!」と言いかけて、止めました。

 日常の中で、良くも悪くも、出くわしてしまうようなささいな出来事に、「ガーーー!」っと怒りの感情が沸き、その感情を吐き出すように口に出そうとした自分に驚き、その場の感情をいったん止めました。

私、何をそんなに怒っているんだろう?

 これは、おかしい。

 普段ならこんなことで怒らないし、怒るような出来事でもないのに。何をそんなに怒っているんだろう?

 些細な出来事に「怒りすぎている自分」。モヤモヤ、ザワザワ。

 ちょっとこれは考える必要があるな……、と自分会議を開くことにしました。

 家に帰り、ゆっくりと深呼吸をし、自分自身とじっくり話し合った結果。

・最近よく眠れていなかった
・身体がとても疲れていた
・過去にも似たような出来事があった
・他で精神的ストレスを抱えていた
・人間関係が上手くいっていなかった

 という5つのことが思い当たりました。

 20世紀初期に活躍した心理学者であり社会理論家であるアルフレッド・アドラーは、感情も行動も「目的」に沿っているのだと個人心理学で唱えています。アドラー心理学で考えると、私が取ろうとした行動は、目の前の出来事がどうだったかということではなく、ただ単に「気兼ねなく怒っていい状況がほしかった」「立場の弱い店員さんに感情をぶつけたかった」という「目的」のために怒りが沸いた、という答えが自分会議の結果出ました。

 自分の「怒り」の原因に気が付いた私は、

1.イライラしたら30分でもよいので少し眠る
2.安息日(何もしない日)を作る
3.漫画や映画など、自分の好きな物事へ意識をそらす
4.悲しかったこと、嫌だったことを自分自身で否定しない

 など、怒りの感情が長居しないように、自分自身のケアに努めました。

自分との付き合い方を知ろう

 なかなか感情や思考の整理が上手くいかないな……ということは、今でも時々あります。そんなときは、目の前で起きた出来事だけでなく、身体の不調や必要以上に物事を引き受けすぎて「キー!」となっていることがほとんどです。

 「怒り」の原因は、相手だけでなく、自分の中にも少なからずあります。そして、振り返ってみると、自分をケアする必要性にも気が付きます。

 これらの見方をぐるりと変えてみると、自分が怒りをぶつけられても、その怒りを100%受け止めなくても大丈夫だということが言えます。

 コミュニケーションはキャッチボールです。乱暴なボールは投げないほうがいいですし、乱暴なボールを頑張ってキャッチする必要はありません。

 「怒り」という感情は、“自分の否”と“相手の事情”に分けて整理してみる。

 人との付き合い方以上に、自分自身との付き合い方を知ることは人生を豊かにしますので、おすすめです。