プロとして片付けのサポートをする中で、やまぐちせいこさんが感じていることとは? 「片付け」に様々な角度から向き合っているやまぐちさんだからこそ、のコラムです。

片付けに「一撃必殺」なんてない

 2015年からミニマリストとしての生活を送る中で、「どうやったら、すっきりとモノを手放して、片付けることができますか?」という質問を、講座などいろいろな場面で受けます。

 結論から言いますと、「自分1人の片付けなら、自分自身と向き合うこと」「家族全体の片付けなら、家族を観察すること」と答えます。

 しかし、多くの場合、口にはしないけれども、「そんなことを聞きたいわけじゃないんですけど……」というような、どこか消化不良の顔をされます。まっとうな答えを返せば返すほど、人が遠のいていくのです。私にとっては、不思議な現象でした(笑)。

 少し前に、デザイン事務所AMIXにお勤めのトミナガハルキさんがTwitterで

畑を耕すような地味な作業は、多くの人が真似をしたがらないんですよね。
やっとの事で実が成り、せっせと収穫していたら
「美味しそうですね。私も作りたいのですが…」と、尋ねられます。
「地道に畑を耕して…」と地味なやり方を伝えると、興味なさげに去ってしまうのであった…。
(Twitter:@asobodesignより引用)

 と呟かれていました。

 片付けの場合も同じです。どうやったら片付くか。その答えは、とても地道な作業にあり、漫画やアニメに登場するような“一撃必殺”で片付けられるものはない、ということです。

1日で一気に? 半年かけてコツコツ?

 先日、某放送局で片付けをテーマに、内容の違う2つの番組が放送されていました。どちらも片付けるのは、家族4人が住む一軒家です。

【A】片付けのプロが入り、5~6人体制&1日で、一気にどんどん片付けていく。指導者が叱咤激励しながら、「モノを持つとはこういうことなんだ」と、考え方や収納法などの答えを提示する。

【B】片付けのプロが入り、半年~1年かけて依頼者と指導者の2人でコツコツと片付けていく。「モノとの向き合い方」を改善するべく、指導者が根気よくサポートし続ける。

 どちらかが不正解で、どちらかが正解ということはありません。

 私自身も片付けの現場に入る際、「1日で解決できるところまで解決してください」と依頼されたら、事前に用意できる収納道具を持っていき、力技のような片付けを行うこともあります。

 ですが、恐らく、このような片付けはリバウンド率が高くなります。

私がサポートした現場の写真。この時は、1日でここまで片づけました。
私がサポートした現場の写真。この時は、1日でここまで片づけました。

 しかし、「眠る場所がない」「子供部屋がない」「休む場所がない」など、緊急を要する問題がある場合は、1秒でも早く解決する必要があります。リバウンド以前に、問題を1日でも早く取り除き、まずは楽になってもらうこと、身体や精神的な疲れをとることを重視する場合もあるのです。

 一撃必殺の片付けは、「緊急を要する場合の応急措置」であり、「病気の根治」ではありません。ですので、再発率が高くなります。

 たとえば、

 「キッチンはすごく使いやすくなったけど、寝室はそのまま」
   「やまぐちさんがやってくれた場所はいいけれど、それ以外はダメな状態のまま」

 というように、自分で問題を解決する力をつける、という課題は残ったまま……となります。

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