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イギリスで料理が喉を通らなくなった理由

 ところでおいしかったと絶賛したばかりのイギリスの家庭料理ですが、実はある日を境にせっかくの料理が喉を通らなくなってしまったことが起きたのです。

 前述のロン夫妻に滞在中のこと。

 各食事の後はいつも夫婦で協力し合って食事の後片付けをしていました。妻のキティが皿を洗うとそれを夫のロンが次々にふきんで拭いて片づけていくのです。

 夫がキッチンで妻と一緒に後片付けをするのはイギリスではよく見た光景でした。

 そんなある日、ふと片付けの最中にキッチンへ入ると、洗剤を入れたシンクの中の食器をキティがスポンジで洗うと、ロンがその泡だらけの水の中からひょいっと食器を出して、そのままふきんで拭いてるのを見てしまったのです。

 なんと泡だらけの食器を水ですすがないんですね。

その時の様子を私のキッチンで再現してみました。こんな感じです
その時の様子を私のキッチンで再現してみました。こんな感じです

 まだ大学を出たばかりの若かった私には、ゆすがないんですか?などと聞く勇気はありませんでした。うっそ~と思いながらそのままキッチンを出たものの、それ以来、出されるものが「あのお皿に食べ物がのってるのか……」と思わずにいられなくなったのです。

 食事はまだしも、すすがずにラックにあげただけのマグで紅茶を飲むのはさすがに耐えられず、こっそりキッチンで洗いなおしたものでした。

 ところでロン夫妻の名誉のために書き足しますと、この「ゆすがない」皿洗いはイギリスではごく普通のことのようです。

 ネットで「イギリス、食器洗い、洗剤ついたまま」といったキーワードで検索してみてください。かなりの数で体験談や情報が出てきます。水資源がそれほど豊かではないのでしょうか?

 かたや水源が豊かな地域のアメリカでは、非常に無駄な水の使い方に時々あきれることがあります。

 水の節約が売り文句の食洗機なのに、思い切り蛇口をひねってジャージャー水を出しっぱなしにしながら、食器についた食べかすや油をほぼ落としてから食洗器に入れるアメリカ人の多いことといったら。二度洗いするなら手で洗ってしまった方が早いのにと思います。

 あんなこんなの思い出がたくさん詰まったイギリスでの食体験。

 この大学の卒業旅行のあとも何度か訪れたイギリスで、こうした暖かい家庭料理の味にふれ、たとえ世界ではマズイと言われる料理でも私はなぜか心底魅了されました。

 ここから私の西洋料理を探求する旅が始まり、今に至っているのです。



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2019/09/29 06:00 /article/detail/2057