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母熊さん
「母」になった今、気づくこと

『小林カツ代のすぐ食べたい! マル秘ケーキとおやつ』
『小林カツ代のすぐ食べたい! マル秘ケーキとおやつ』小林 カツ代 著/講談社
『小林カツ代のすぐ食べたい! マル秘ケーキとおやつ』小林 カツ代 著/講談社

 本についたシミや黄ばみまで愛おしい……。故・小林カツ代さんのお菓子の本。

 初版1997年。うちの3人目の子が産まれた年です。当時、たった4年で3人の子の母になった私は日々の子育てに溺れそうでした。そんな中で、2人の年子の母であるカツ代さんが理想のお母さんみたいに思えて、大好きでした。カツ代さんの一見たわいもないおしゃべりみたいなアドバイスは、今でもそのお料理を作る度にリアルによみがえります。

 お菓子作りのスキルなんてまったくなかった私でも片っ端から作れる「うちだからこそ!」の素朴でアイディアいっぱいのケーキたち。理にかなったレシピのフレンチトーストは作り続けて早20年。うちの子たちにとっては、それが“おふくろの味”となりました。

「“失敗しないで作ろう”と思うことが大事。もし失敗したら、あなたはもちろん、でき上がりを楽しみに待っている子どもが、どんなにがっかりするかしれませんから」

 行間からあふれ出す、カツ代さんの優しく温かいお人柄にすっぽりと包まれるような心地よいレシピ本。気付いたら20年もの間、いつでも手に取れるところに置き続けてきた大切な一冊です。

『おにたのぼうし』
『おにたのぼうし』あまん きみこ 著、岩崎 ちひろ イラスト/ポプラ社
『おにたのぼうし』あまん きみこ 著、岩崎 ちひろ イラスト/ポプラ社

 初版1969年。

 私の生家には二階に上がる階段の脇に、天井まである私専用の大きな本棚がありました。階段をよじ登って、本棚の下の段に片足をかけ、短い手をいっぱいに伸ばして上の棚の本を取っていた幼い私。そのまま階段に腰かけてお尻に根っこが生えたみたいにその本たちを読み漁っていました。

 本棚には父が見繕った絵本や図鑑、童話からちょっと難しい大きい子用の本までがぎっしりと詰まっていました。その中の一冊だったこの絵本。一度では理解できず、引っ張り出しては繰り返し読んだものです。

 その後生家は売却され、本棚の本ともお別れしました。

 それから長い年月が経ち、母になった私はやはり「おにたのぼうし」を買っていました。子どもたちに読んであげながら、昔はぼんやりとしか感じられなかった深さ悲しさ温かさがくっきりと形を成して胸に迫ってきたのです。

 「おにたも、いろいろ あるのにな。」

 おにたの言葉には今を生きる私達も、はっとさせられる気付きがあります。

 画一的なものの見方をしている自分に、ふと おにたの声が響く瞬間、幼い日の私に恥ずかしくなって襟を正す……。そんな私を見て おにた は笑っているのかな。

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2019/10/20 07:00 /article/detail/2076