台所から生まれる、日々のごちそう

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2020/02/11 07:00

みなさんにとって、一番のごちそうはなんですか? 手作りの温かさ、シンプルなおいしさを思い出させてくれる、hasu.hanaさんのコラムです。

▼目次

私の「ごちそう」の記憶

 子どもの頃友達の家にお呼ばれした時、私はいつもそのお家の台所と食卓が気になって、気づかれないように横目でチェックしていました。

 あの頃は専業主婦のお母さんが多く、友達の家に行くとたいていお母さんがいて、台所からおやつを運んできてくれました。ご飯をごちそうになった時は、緊張しながらも台所に立つ友達のお母さんの後ろ姿を見て、そのお家の温かさに触れたことを深く覚えています。

 そんな私には、自分の母が作る家庭料理の記憶がうっすらとしかありません。朝早くから夜遅くまで働いていた母は、ご飯を作る時間が少ししかなく、食卓にはできあいのご飯が並ぶことが多かった。そして、私はそれに飽き飽きしていました。

 そんな母がある日、夜中にちらし寿司を作っていたことがありました。

 夜中に台所の電気がついていたので、ふと見ると、すし桶と母の後ろ姿がありました。その姿は今でも目に焼き付いています。とても嬉しくて、布団の中からこっそり見ていました。

 できあいのご飯に飽き飽きしていた私にとって、手作りのご飯は当たり前ではありませんでした。

 お店で買ってきたお寿司のほうがきっとおいしいものだったはずなのに、私の記憶では、あの夜母が作ってくれたちらし寿司がとってもおいしいごちそうとして残っているのです。

 そのせいか、私はちらし寿司をおいしく作りたいという気持ちが強く、今年の元旦も直径50㎝はある大きな「はんぼ」で大量の穴子のちらし寿司を作り、身内にふるまいました。

 これもみんなの記憶に残るといいなぁと思いながら、なんとも言えない充実感を味わっていました。

義祖母が何十年も使っていたはんぼを昨年末に受け継ぎました
義理の祖母が何十年も使っていたはんぼを昨年末に受け継ぎました
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