20年間のイタリア生活を終え、日本に帰国。おいしいイタリアンや 普段の食事をブログで発信している、yukoさん。本場・イタリアで衝撃を受けたパスタのお話とレシピを紹介してくれました。

パスタ=「練ったもの」という意味

 イタリアの代表的な料理と言われて、まず一番に思い浮かぶのはスパゲッティなどの“パスタ”ではないでしょうか。

 パスタが初めてイタリアに伝わったのは、12世紀のシチリアで、アラブ人によるものといわれています。パスタには「練ったもの」という意味があり、パン生地やお菓子のパイ生地などもパスタと呼ばれます。

 さてパスタはいったい何種類ぐらいあるのか……ショートパスタだけでも300種類を軽く超えると言われるほどたくさんの種類があります。また同じパスタでも地方によって名前が違ったりするのでややこしいです。

 今でこそイタリア全土にいろいろなパスタが広がっていますが、昔は南イタリアはデュラムセモリナ粉で作る乾燥パスタ、北部では卵を加えて小麦粉で作る生パスタが主流だったそうです。

 デュラムセモリナ粉とは硬質小麦の一種で、グルテンの量が多いので、アルデンテに茹で上げるとコシがあり煮崩れしにくいパスタが出来上がります。作る工程である程度時間をかけて乾かすことが必要で、南イタリアのカラッとした気候が乾燥パスタを流行させたといわれています。ちなみにショートパスタなどで穴が開いたものが多いのはソースをからめる意味もありますが、早く乾燥させるためだとか。

 イタリアの乾燥パスタは、100パーセントデュラムセモリナ粉で作ることが法律で決められています。

 一方北イタリアでは硬質小麦が育たなかったため、軟質小麦(日本でいう薄力粉や強力粉)に卵を加えコシを出したパスタができました。

 またイタリアにも蕎麦を栽培している地域があって蕎麦粉のパスタもあります。キャベツやジャガイモにチーズたっぷりのソースでいただきます。蕎麦にチーズ……?日本人の感覚だと信じられませんが意外といけますよ。

そば粉のパスタピツォッケリ
そば粉のパスタピツォッケリ

 乾燥パスタに比べると、生パスタはコシというよりもその独特の少し柔らかめのもちっとした食感が特徴で、それを生かした平たいタリアテッレやラザーニャといった形、またトルテッリなどの詰め物パスタができました。現代ではこれらの生パスタも乾燥パスタとして作られています。

 またそれぞれ合わせるソースにも南北で差があります。

 トマトとオリーブの産地の南イタリアではトマト系のソースが多く、放牧などが盛んな北部では生クリームやチーズバターといった乳製品が使われることが多いようです。

スパゲッティ・アル・ポモドーロ
スパゲッティ・アル・ポモドーロ

忘れられない! 最高においしかったパスタとは

 20年間イタリアで生活してきて、たくさんのパスタを食べてきました。

 おうちパスタ、レストランでのパスタ。お呼ばれしてしていただいたパスタ。いろいろですが今でも忘れられないお味があります。

 それは友人のアニェーゼさんの作ってくれるスパゲッティです。アニェーゼさんは友人といってもかなり年上で、すでに2人の娘さんを育て上げられ、今はご主人のぺトリックスとナポリで暮らしています。毎週末娘さんたちがそれぞれの家族を連れて、大人数のランチをするそうです。

 おいしく食べてほしいから手間も暇もいとわないという彼女の料理は最高です。家族ぐるみのお付き合いだったので、夏になるといつも、バカンス先の別荘にお邪魔していました。そこでいただく、ボンゴレスパゲッティのおいしさといったら! ナポリ人らしく、フレッシュなトマトがたっぷり入っていて、貝のうまみをうまく引き出しています。我が家ではこれを食べないと夏が始まらないなんてよく言っていました。

 うちの娘などもいまだに「アニェーゼさんのパスタが食べたい」なんて言います。

 作り方を何度も見てきたし、教わっているのですが私が作るのとはどこか違うおいしさがあります。まさに“マンマの味”なのです。レシピを載せますのでぜひ作ってみてください。

アニェーゼさんの絶品ボンゴレスパゲッティ

【材料】(4人分)
スパゲッティ320g
あさり1㎏
ぺペロンチーノ(赤唐辛子)1個
にんにく1片
白ワイン1/2カップ
オリーブオイル(※エクストラバージンタイプを使用)大さじ4
プチトマト24個位
イタリアンパセリ少々

【作り方】
①フライパンに砂抜きしたあさり、白ワインを入れ、蓋をして蒸し煮にする。殻が開いたら取り出し、半分殻からはずし、汁は漉しておく。

②オリーブオイル大さじ3とみじん切りのニンニク、ぺペロンチーノ(赤唐辛子)を入れ、香りを出す。プチトマトを丸ごと加え、①のあさりの汁を入れ、中火で軽く煮る。

③①のあさりを加え、茹でたパスタを入れてしっかりとからめ、残りのオリーブオイルとパセリのみじん切りをふる。

【ポイント】
・オリーブオイルは多めです。あさりの汁とトマトにしっかりとからませ、とろみのついたコクのあるソースに仕上げます。
・スパゲッティーニ(太さ約1.6mm)でなくスパゲッティ(太さ約1.9mm)を使います。
・茹でたスパゲッティはしっかりとソースにからませます。 私はいつも茹でたパスタを手早くからめると習っていたのですがアニェーゼさんはいつも時間をかけてしっかりとからめていました。かといってパスタが伸びているわけではなく、なるほど…と思ったことがあります。

衝撃的なおいしさだった「トマトの水」のパスタ

 そして一番衝撃というかびっくりしたパスタが、カラブリアのシーラという山奥にあるレストラン「タベルネッタ・ディ・ピエトロ・レッチェ(Ristorante La Tavernetta di Pietro Lecce)」で食べた「アクア・ディ・ポモドーロ」というパスタです。

 このレストランの経営者・ピエトリーノは食のこだわりがすごく強く、地元・シーラの山で取れた食材を積極的に使い、生ハム用の豚も自分で飼育しています。そんな彼が作る料理はいつもおいしさと驚きがいっぱい。

 アクア・ディ・ポモドーロもその一つです。直訳すると“トマトの水”という意味ですがまさにトマトの水分を使ったパスタでした。

 さっそくうちでも作ってみました。見た目はペペロンチーノのようなオイルパスタですが、食べるとトマトの味がします。これがおいしい~!

「アクア・ディ・ポモドーロ(トマトの水)」のリングイーネ

【材料】(2名分)
トマト800g
リングィーネ180g
オリーブオイル大さじ2と小さじ2
ニンニク1片
バジリコ4~5枚
プチトマト1個
グラナ・パダーノチーズお好みで

【レシピ】
①トマトをミキサーにかけキッチンペーパーなどをしいたざるにのせ、一晩漉す。

②透明なトマトの汁(アクア・ディ・ポモドーロ)が420ccくらい取れる(※トマトによって取れる水分は変わります)

③フライパンにオリーブオイルを大さじ2入れ皮付きのニンニクを軽くつぶして加え、香りが出たらすぐ取り出し、②のアクア・ディ・ポモドーロとバジリコを入れる。

④標準時間より2分短めに茹で上げたリングィーネを加え、少し煮詰める感じでパスタにソースをからませ、塩で味を調える。

⑤火から下ろし、オリーブオイルを大さじ1加え、器に盛り付け、プチトマトとバジリコを添え、お好みでチーズをふる。

パスタの茹で方も大事! 気をつけるポイントは2つ

 さてパスタをおいしく食べるためのの基本的な茹で方をご紹介します。

 パスタは200gに対して、水は2ℓ、塩は15gが目安です。

 塩15g !? と驚かれるかもしれませんが、パスタにはしっかりと塩を入れ、味をつけて茹で上げるのがおいしさのポイントです。

 まず鍋にお湯を沸かして、塩を加えます。最初から塩を加えてしまうとなかなか沸騰しないので気をつけましょう。

 塩を加え沸騰したらパスタを加えます。再び沸騰したら軽くかき混ぜ、そのあとは触れずにそのまま茹でます。

 茹でている途中であまりかき混ぜてしまうと、茹で汁の温度が下がってしまいます。またパスタの表面がさらっと仕上がらないといわれています。

茹で時間は、1~2分早めにする

 茹で時間はパスタの種類にもよりますが、袋に書いてある標準茹で時間より1~2分早めに引き上げるのがポイントです。

 茹で上げてレトルトのソースをかけるだけというのなら別ですが、パスタは茹でた後、必ずソースをフライパンやボウルでからめるのがイタリア流です。

 イタリア人が日本のパスタで一番びっくりしたのがミートソースみたいな茹でたパスタの上にソースをかけただけのものだといいます。ちょっと話がそれてしまいましたが……。

 とにかく茹でたらしっかりと水けをきり、フライパンやボウルなどでしっかりソースとからめるので、その分の時間を差し引いて茹で、アルデンテ(芯が糸のように残った状態)に仕上げるのがおいしさのポイントです。

 さて今日あたり、おいしいパスタ料理にしてみてはいかがでしょうか。次回は、数多くあるパスタの種類についてと生クリームがなくてもおいしくできるカルボナーラのレシピをご紹介します。