偶然の出会いから始まりました
8年前の夏。
当時2歳だった長女の検診に行くのに、ベビーカーを押して初めて通った商店街。
窓際に並んだ鮮やかなお皿やコップが目にとまり、“何のお店かなあ”と思って見ていました。
当時、このお店を任されていた奥様が「よかったら中も見て行ってください~」とドアを開けて声をかけてくださったのが、リフォームの施工してもらった工務店との出会いでした。
外から見ると古い建物でしたが、室内は天井が高く、木の香りがいっぱいの気持ちのいい空間。元の良さも残しながら、使いやすいように、心地いいリフォームをされていました。
器や雑貨は委託販売されたもので、隣の事務所に併設する打合せを行う場所でもありました。
今ではよく使う“自然素材”ということばもこのとき初めて聞きました。
以前に新築やリフォームされた写真を見せてもらうと、さらにドキドキが止まらなくなるほど興奮しました。
“こんな家で暮らしたい!!”
そう思い、その夜、夫に話しました。
これからの生き方、暮らし方を考えさせられて
不安そうな夫を説得し、私の実家の近くに空き家になっていた家(当時築31年)があったのでそこをリフォームか建て直しできたらと思い、工務店さんに一度見に来てもらうことになりました。
風は通していましたが2年ほど空き家になっていた古い家に入り、屋根に上がったりして見てもらうと、
「今ではとれない地元のいい木がしっかり使われているから潰すのはもったいないです!」そう言ってもらったことで気持ちが一気に固まりました。
ここからは工務店の社長と家やそれにまつわる話をしているうちに、夫もどんどんと家作りに引きこまれていきました。
リフォームというと目につくところ、見た目ばかりをつい気にしてしまいがちですが、ここの社長は山に木を取りにいく話から、使う素材の話、これからの生き方暮らし方までの話を延々とされました。
目に見える形だけでなく、その背景にある自分の物語をたくさん考えさせられました。
想いや理想をきちんと伝えること

それから始まった怒涛の打合せ(2か月ほど)。
ことばではなかなか伝えるのが難しい自分の好きな素材や雰囲気は、雑誌のページを切り抜いたり写真などたくさん見てもらいました。
そこで言われたのが、
「本物が好きですね~」ということば。
私が惹かれるものは、古くても使いやすくて気持ちが落ち着くものでした。
毎回宿題をたくさんもらい、
“やりたいこと、条件をすべて。”家に求めるものを書き出しました。
予算もあり、もちろんすべての条件がクリアできるわけではないけれど、
“こんなのは無理かな……”
と思ってもこちらの思いやイメージの理想をきちんと伝えることはとても大事なことだとこの時思いました。
“おまかせします”が一切ない、工務店。
なぜそうしたいのか、どんなふうにしたいのか、何度も何度も現場に足を運び、毎日考えました。