子育ても楽しめると思っていたけれど
「どんなにつらいことがあっても決してこの壮絶な瞬間を忘れなければ優しい気持ちを持ち続けられる」7年前、娘を産んだ瞬間、そう思った。
そんな気持ちはとうに置き去り、娘にとっては鬼より怖い母さんが、今ここに存在する。
昔から割と器用な方で、勉強も仕事も決められた課題をこなす事は難しくなかった。頑張ったら頑張っただけの評価があり何事にも正解があった。
だが子育ては違った。
娘を産んだ瞬間、やり遂げた気持ちと共に明日から始まる自分の人生が何をするにももう、1人ではないのだという事に気づき怖くなった。
そして予感は的中。
抱っこベルトをつけてスーパーに買い物に行くだけ。洗濯をして干して取り込んで畳むだけ。掃除機をかけるだけ。お風呂に入れるだけ。ごはんを作るだけ。
その『だけ』が思い通りにいかなかった。
今まで適当にこなしてきたことが、ちいさなちいさな赤ちゃんがいるだけで何倍にも時間がかかったり、できないことがあると知った。
当たり前じゃなかったんだ、と。
私なら楽しくできる、そう何故か自信があったのに。できない自分に腹が立ち、何を求めてるのかわからない娘にイライラし、心から楽しめなかった。

そんな時、いつも優しく声をかけてくれた夫。
「赤ちゃんがいるからって我慢することない。自分の時間を持ったっていい。ごはんなんかなくたっていいんだから」
今思えば、頑固で曲げられない私の性格をよ〜くわかってくれていた。
そう言われれば言われるほど、涙でぐしゃぐしゃになりながら「で、できるもん」と何故か意地になる。……実に素直じゃない。
そんなこんなで、泣いたり笑ったり、毎日がマラソン大会のような7年を過ごしてきた。
通知表から見えた娘の姿
先日のこと。
娘、生まれて初めての通知表を持ち帰ってきた。「ママ〜漢字ばかりだから読んで?」と娘を膝にのせ読み進めた。
そこには、苦手なお勉強を楽しい! と頑張っている事が書かれていた。なにより嬉しかったのは、いつも笑顔でお友達を楽しませ困った時は手を差し出せる、思いやりにあふれた素敵な心の持ち主です。という先生の言葉。
に……にじむ、震える、隠せない! あふれでる涙。
「わ! ママ? なんでそんなに泣いてるの?」と娘に笑われるも、人生で1番嬉しい日だった、といっても嘘じゃないほど涙が出た。
はじめての子で、はじめての子育てで、たくさん悩んだ、ちいさな娘。
はじめて、「お母さん間違ってなかったよ。ちゃんとできてるよ」と言われたような気持ちになった。
あーこの子はお勉強が苦手なんだ、とわかってから、勉強が学校が、嫌にならないだろうかと心配した。
私が子育てにつまずいたように、苦手な事を続ける事は大人でも楽しくないはずなのに、彼女はなぜかいつも楽しそうで嬉しそうで。
先生からのコメントを読みながら、わからないながらも一つひとつ必死に頑張っていただろう、1番前の席に座る、ちいさな娘の姿が目に浮かんだ。
「本当に偉いぞ〜」と頭をくしゃくしゃにしながら思いきり抱きしめた。

一生懸命を楽しめばいい
まだまだこれからいろいろな事があるのだろう。
また母さん、それはそれはちっちゃな事で悩むのだろう。その度に父さんに励まされ、子供のように泣いて子供たちに笑われるのだろう。
でもこんなにも、強くて頼もしい娘が私にはいるじゃないか。
泣いていることに気づき急いでティッシュを取りに行って、1回すっ転んでから、てへへと、涙をふきにきてくれる世話好きな息子も。支えてくれる優しい父さんも。
できる事が沢山より、人よりできない事が沢山なら、いつかこうして達成できた時いっぱいの喜びがある。一緒に喜ぶことができる。のんびり屋さんながらも、いつもニコニコな娘がそう思わせてくれた。
子供たちにも自分にも一生懸命になっちゃう、ひとり忙しく動き回る、これが私。
それを楽しめばいい!
このまんまでいい!

今日のパパっとつまみ:長ネギのきんぴら
どんな子にも良さがあるように、食材にもそれぞれ良さがある。脇役の野菜だってお料理1つで立派な主役になれる。

材料(2人分)
- 長ネギ(白い部分) 2本(均等に切っておく)
- ごま油 適量
- Aめんつゆ 大さじ2
- A水 大さじ1
- A酢 小さじ1
-
↓なくてもok、あったらさらにおいしい
レモン 1かけ
七味 適量
作り方
- Aの調味料をあわせておく。
- フライパンにごま油を入れて火をつけ、温まったら均等に切った長ネギを並べ中火で焼く。
- 焼き目がついたら裏返し、【1】を入れて軽く転がしながら1〜2分ほど弱火〜中火で焼く。
- 器に盛りつけ、さっとレモンを絞り、七味をかけて完成!