12月は年末年始に向けて不要なものは捨てて、新しい1年に向かう頃。どうしても「掃除・捨てる」を考えがちです。が、少し視点を変えて「断捨離をしてもこれだけは捨てられない愛用品=私のとっておき」にフォーカス。いろんな人の愛用品をご紹介します。
あなたが大切にしているものは何かを考えると、自分のこだわりや好みが見えてくるかもしれません。
私にとっての「どこでもドア」
今から10年以上前の話になりますが、東京で知り合ったフランス人駐在員と恋に落ち、その数年後にパリに移住する事になった私。
引っ越しの際には、先にフランス入りをしていた主人の元にスーツケースと数個の段ボールで転がり込んだので、強制的に断捨離をせざる追えない状況だったのですが、移住前も移住後も肌身離さず私の元にあるのが、日本で買ったノートパソコン。
理系女の私は昔からパソコンには興味があり、それこそ21世紀に入る前から1分単位で電話料金を支払いながらインターネットを楽しんでおりました。そのため、パソコンさえ使えれば世界がグンと狭くなるのを知っていたので、海外に移住するのに抵抗がなかったのかもしれません。
主婦のとっておきがノートパソコンだなんて、なんだか味気ない素っ気ない、つまらない女に聞こえるかもしれませんが、フランス語力ゼロで渡仏した私には、何でも日本語で質問して返事を返してくれるパソコンは本当に救世主。
当初仕事もなく、ただ家にいて主人の帰りを待っているだけの私には、生きがいレベルとなっておりました。
異国での普段の生活はもちろん、結婚、妊娠、出産、育児……気が滅入りそうになった時に日本のサイトを検索し、さまざまな情報を読んで勉強したり、同じ状況の人のコメントで励まされたり、どれだけ助けられた事か!
なのでこれさえあれば、パリにいながらも常に日本とつながっていられるような……。まるで私にとってのどこでもドア!? パソコンのスクリーンの先にはいつでも日本がある気分なのです。

フランスでの交流もここから
また、私にとってノートパソコンは、日本と自分をつなげる以上の役割を果たしてくれました。
渡仏した直後、「仕事がない、でも何かしたい……でもフランス語ができない!」といろいろと悩んでいた私。このノートパソコンから、パリの情報を日本に発信する事を思いつきました。
まずはブログを始めたのですが、それをきっかけにネット上ではありますが、さまざまな人と出会い、そして実際にその出会いが仕事にまで発展しました。こうして翔泳社さんの『みんなの暮らし日記』にコラムまで書かせていただく事になったのも、ノートパソコンがあったおかげです。
普段は家にひきこもりがちな私が、ノートパソコン片手に近所のカフェにふら~っと通い、そこで記事を書いたりするようになり、それがきっかけで自分が住んでいるエリアの人と顔見知りになった事もありました。
そう。私がパリで生活を作るきっかけにもなってくれたのです。
本当にノートパソコン様、様、様!
今まで何度も買い換えている私のノートパソコン。でも、すべてに思い入れがあるため、いまだに全部捨てられずにおります。なので現在我が家には主人のも合わせると、合計10台はパソコンがあるんですよ(笑)。

海外在住者ならではのとっておき。私のノートパソコン。
これは私が海外で生きるために不可欠なツールなのです。
★ほかの人のとっておきはなんだろう?
シリーズ連載「気づけば長いおつきあい、私のとっておき」