翻訳家でお菓子ブログを主宰している森嶋マリさん。今回は、イチゴスイーツのお話。日本では当たり前の甘くてやわらかいイチゴ。世界では実は珍しいんだとか。

オリンピックで釘付けになったのは……

 こんにちは! お菓子ブログ「Single KitchenでSweetsを」のmarinこと森嶋マリです。

 この冬のオリンピックでは羽生結弦選手に落ちました。羽生選手の演技を見て、(特におばさんが)突如ファンになることを“おちる”というのだそうです。そういう言いまわしがあるのを知ったときには、「そんな馬鹿な!」と思いましたが、ふと気づくと、オリンピックでの演技をうっとり見つめていて、「これが“おちる”ということか」と実感したのでした。

 でも、なぜ、いまさら、冬季オリンピックの話題? と不思議に思われそうですね。

 それは、今回の冬季オリンピックでもうひとつとっても気になることがあって、「よし、記事のテーマはそれで行こう!」と決めたからです。

 気になったのはカーリング女子。銅メダルという成績もすばらしいと思いましたが、笑顔での「そだね~」にもとっても心が和みました。

 でも、それと同じぐらい注目を集めたのは、もぐもぐタイム。私は彼女たちが頬張る大粒のイチゴに吸い寄せられました。

 「あれだけ大きくて、甘そうなイチゴは日本産にちがいない!」

 「品種はあまおうだろうか? やよいひめか? それとも、スカイベリー?」

 「オリンピックで全力を出し切るためのエネルギー源として、日本の完熟イチゴを毎日空輸させたの?」

 などと、勝手にあれこれ推測しました。でも、実際には韓国産のイチゴだそうですね。

 いずれにしても、ビタミンCが豊富なイチゴは、スポーツ選手の栄養補給にうってつけと言えそうです。

 栄養面でも納得の選択のイチゴですが、私が注目した最大の理由は単純明快、無類のイチゴ好きだからです。そして、もうひとつの理由は、これまでの海外旅行で日本のように甘くてやわらかいイチゴにはお目にかかったことがないからでした。

 完全なる独断と偏見ですが、私にとって日本のイチゴはキング・オブ・フルーツ。甘さも食感も世界一だと思っています。

砂糖水を注射してある!?と思われた、甘くておいしい日本のイチゴ

日本のイチゴ
日本のイチゴ(写真=iStock.com/MosayMay)

 友人から聞かされた話ですが、外国人の知り合いに日本のイチゴを出したところ、「これはイチゴじゃなくて、イチゴのお菓子でしょ? 砂糖水を注射してある?」と言われたそうです。味だけでなく、きれいにパック詰めされた姿も、そう言われてみれば、お菓子に見えなくもないような……。

 外国でもパック詰めのイチゴを見かけますが、日本のものほどきれいに並べられているものはあまりないような気がします。それどころか、むきだしで山積みにされて売られていることもよくあります。

スペインのマーケット
スペインのマーケットでの様子(写真=iStock.com/trait2lumiere)

 山積みのイチゴを初めて見たときには、「下のほうが潰れちゃうんじゃない?」と心配しましたが、食べてみて納得。ちょっとやそっとでは潰れそうにないぐらい頑丈なイチゴでした。はっきり言えば、ガリガリしていて、ほとんど甘くない。日本のイチゴとは別物でした。

 イチゴだけでなく、みかん、サクランボ、メロン、桃とあらゆる果物が甘くてやわらかいのが日本のすごいところ。よりおいしいものを追求する農業関係者の熱意がひしひしと伝わってきます。

 とはいえ、もちろん、外国にも甘い果物はあります。ご存じのとおり、トロピカルフルーツのとろけるような食感と甘さは格別です。

 カンボジアに住む友人を訪ねたときにも、完熟マンゴーが破格の値で買えるのが嬉しくて、毎日食べました。でも、そこで不思議なことを発見。現地の人たちは完熟マンゴーをあまり食べないんです。好んで食べるのは青くて硬いもの。それをスティック状にカットして、塩を振って、おやつにポリポリかじっていました。まるでスティック・キュウリ感覚です。

 “果物は甘いほうがおいしい”と思いこんでいた私として、ちょっとしたカルチャーショックでした。

 でも、考えてみれば、ケーキに使うフルーツも少し酸味があったほうがよいこともあります。甘い生地やクリームに甘酸っぱいフルーツを合わせれば、爽やかですっきりした味になりますから。

イチゴのパイ。甘いクリームとの相性は抜群
イチゴのパイ。甘いクリームとの相性は抜群

 そして、ケーキを彩るフルーツの代表格といえば、やはりイチゴ。その中でも不動の定番は、イチゴのショートケーキでしょう。いわゆるイチゴのショートケーキは洋菓子の本場フランスにはなく、日本特有のものです。ふんわりしたスポンジ生地と甘い生クリーム、甘酸っぱいイチゴという組み合わせはまさに日本人好みの味ですね。

ショートケーキは日本特有のもの。イチゴがなくてははじまりません
ショートケーキは日本特有のもの。イチゴがなくてははじまりません

イチゴの断面に注目!

 ケーキに使うイチゴは味を引き締めてくれるだけでなく、彩りがほしいときの強い味方でもあります。

 地味なケーキもイチゴを一粒のせただけで、見ちがえるように華やかになります。小さくカットしたものをのせてもかわいいし、半割にして断面を見せるというテクニックも使えます。

プリンア・ラ・モードもイチゴをトッピングすると華やかに
プリンア・ラ・モードもイチゴをトッピングすると華やかに
断面イチゴのカップスイーツ
断面イチゴのカップスイーツ
断面イチゴのチーズケーキ
断面イチゴのチーズケーキ

 そのためというわけでないでしょうが、築地市場のサイトにはさまざまな品種のイチゴの断面図と味、食感、形がひと目でわかる図が掲載されています。

 私はその図を眺めて、手に入りやすいイチゴの中で特に断面が赤くてお菓子に映えそうなのは、“とちおとめ”と“あまおう”だと確認しました。イチゴ好き必見の図ですから、ぜひ覗いてみてくださいね。

おいしいイチゴで、イチゴ大福を作ってみませんか

 生クリームとの相性は文句なしのイチゴですが、あんことの相性も抜群です。

 その証拠とも言えるお菓子が、言わずと知れたイチゴ大福。

 というわけで、今回はイチゴ大福のレシピをご用意しました。

 和菓子を作るなんてむずかしそう――私も最初はそう思いました。でも、そんなことはないんです。あんは市販のものを使って、求肥(ぎゅうひ)は電子レンジで作れば、あっというまに完成です。

 あんと同じぐらい甘いイチゴを使って、甘い和菓子を堪能するか、甘酸っぱいイチゴを使って、爽やかに仕上げるか、はたまた両方作ってみるか。いろいろ試したくなるほど簡単です。

 動画も作成しました。イチゴやあんの包み方の参考にしていただけると嬉しいです。

 カーリング女子が頬張っていた大粒イチゴもおいしそうだったけれど、それに負けないぐらいおいしいイチゴ大福で、楽しいおやつタイムをお過ごしください。

イチゴ大福

【材料(6個分)】
イチゴ 6個
こしあん 150g
白玉粉 70g
水 140g
砂糖 50g
片栗粉 適宜

【作り方】
1.バットやまな板に片栗粉を敷く(求肥を置くため)

2.イチゴのヘタを切り落とし、切り口をキッチンペーパーでそっと拭く

3.こしあんを25gずつ丸め、平たく伸ばして、イチゴを包む

4.ボウル(電子レンジ可のもの)に白玉粉を入れ、水を少しずつくわえて、混ぜる

5.砂糖をくわえて混ぜ、電子レンジで1分加熱し、混ぜて、砂糖を溶かす

6.電子レンジで1分加熱して、かき混ぜる。これを3回ぐらい繰り返す(生地に透明感が出るまで)

7.片栗粉を敷いたバットに求肥生地を置き、手に手粉をして、求肥を6等分する

8.イチゴ入りこしあんを求肥で包む(あんに求肥をかぶせ、とじ目をつまんでくっつけ、丸く形を整える)

 *動画ではきび砂糖を使っているので、茶色っぽい求肥になっています。真っ白に仕上げたい場合は、上白糖を使いましょう。