甘くておいしいおやつ、クレープ。実は、フランスでは、2月になるとクレープをたくさん食べるのだとか!? パリで暮らすマダム愛さんがその理由を教えてくれました。

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1月はガレット・デ・ロワ

 皆さま、フランスの有名なお菓子、“ガレット・デ・ロワ”って、ご存知でしょうか?

 1月の「公現祭」に食べるパイ菓子で、ホールの中にひとつだけ「フェーブ」と言われる陶器の人形が入っており、それを当てた人が王様になれる、という、そんな楽しいお菓子なのですが、以前は全くもって無名だったこのお菓子、今では日本のいろいろなパティスリーやパン屋などで手に入るようになったと聞き、大変驚きました。でも、おいしい文化はガンガンと取り入れないともったいないですよね。その流れ、賛成です!

 我が家も1月は毎週2~3個のガレット・デ・ロワを消費しましたよ。

 今年は営業ができないレストランが、その分デリバリーやテイクアウトにてガレット・デ・ロワを作っていたので、せっかくだからといろいろなお店に注文をしてそれぞれの味を楽しみました。

 そして2月。

 あれだけどこの店頭をのぞいてもガレット・デ・ロワが並んでいたのに、急にショーウィンドーは元どおり。ガレット・デ・ロワ好きな我が家はピカールの冷凍ガレット・デ・ロワを買い込んで、ここぞという時に食べ続けてます。

2月のおいしいイベントとは

 じゃあ、2月。フランス人にとっておいしいイベントはないの? って思ったら、実はね、あるんですよ! 甘くておいしい物を食べるイベントが! それが「マルディ・グラ」と言われるもの。

 マルディ・グラで検索すると、wikipediaでは「肥沃な火曜日」となっており、謝肉祭の最終日と書かれております。でも、それ、なんだかわかりにくいですよね。実際にフランス人も熱心なカトリック信者でない限り、この日に宗教を意識して過ごしたりはしません。

 それでも一応、このマルディ・グラが何なのか、何の日なのかを知っておくならば、この翌日から40日後(日曜を含まない)がイエス・キリストの復活に当たる日と定義されています。そのため、この日を境に“四旬節”と呼ばれる期間に入り、この四旬節の間は、キリストの受難を分かちあうために、断食をする習慣があるのです。ですので肉はもちろん卵や乳製品の摂取などが禁じられております。

 なので、このマルディグラは、簡単に言うと、断食日になる前日の日! と言う意味。そのため、何でもたくさん食べられる最後の日だから、たくさん食べてお祝いしておこう!となるわけです。

 ちなみにこのマルディ・グラ、フランス語でマルディは“火曜日”、“グラ”は脂とか脂肪とかいう意味。直訳すると“脂の火曜日!”

 脂物を思う存分食べられる火曜日だなんて、すごく直球なネーミングですよね。

 この四旬節を迎える前は、食べることはもちろんですが、世界各地で1~2週間にわたり行われているお祭りも多数あります。それが“カーニバル(謝肉祭)”というもの。多分、耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか? みんなが仮装をして街を練り歩くパーティーです。

 特に、独特の妖艶な仮装をするベニスのカーニバル、そして街を派手にパレードするリオのサンバ・カーニバルなどが有名ですよね。

 あれも同じ理由で、断食前に自分の身分も職業もそんなの全部関係なく、平民が王様の格好をしたり漁師が商人の格好をしたり、とにかくみんなで楽しもうよ! というのが由来になっているそうです。

 実際にカーニバルの語源は、俗ラテン語 「carnem(肉)」「levare(取り除く)」でして、四旬節が始まる前日、マルディ・グラの日、にお肉に別れを告げるパーティーのことを意味しているのです。

 最近はこの“カーニバル”という言葉だけが一人歩きして、まるで“ダンス”と同じ言葉のように日本で使われることがありますが、カーニバルには、実は宗教と深い関係のある意味が含まれているのです。

マルディ・グラにはクレープ!

 このように、話し出すときりがないキリスト教関係のお祭りの日なのですが、現代のフランス人にとってこのマルディ・グラはなぜか“とあるお菓子”を食べる日、になっているんですよ。

 そのお菓子はいったい何かと言いますと、それは日本でも馴染みのある“クレープ!”

 マルディ・グラの日はみんなで大量のクレープを食べる日でもあるのです。

 これは、断食に入る前に卵や牛乳を使い切ろうとしたことが由来だと言われておりますが、今ではフランス人、そんな由来や宗教的なことは関係なく、マルディ・グラと言えば仮装してクレープを食べる日! みたいな認識になっております。

 フランスの学校でも、マルディ・グラのイベントを毎年行っているところが多く、仮装をして来るように言われ、また保護者がクレープを焼いて持って行き、子どもたちがそれを食べてお祝いします。

 そう、フランスは子どものときから“マルディ・グラ”は仮装してクレープを食べる日! と学校で学んで成長するのです。厳格なキリスト教の私立学校に通う息子ですら、このイベントを毎年行っているので、マルディ・グラ イコール “クレープ!” のイメージがすっかり定着しているのだと思います。

 ちなみに“クレープ”とだけ聞くと、皆さまはどんなものをイメージされますか?

 私は東京で育ったので、クレープといえば、原宿などで食べ歩きするのがクレープ! 生クリーム、チョコレートやらアイスクリームやらがこんもりと盛られた、ボリュームたっぷりのものを想像してしまうのですが、フランスではクレープといってもとってもシンプル。

 単に砂糖をパラパラパラ~とかけて食べる人が大半。人によってはジャムだけだったり、はちみつだけだったりと好みはあるけれど、日本のクレープとはかなり違い、とてもシンプルな具材だけでいただくのが普通です。

 もちろんレストランなどに行くと、日本で言うような“チョコバナナクレープ”的なゴージャスなものもあるけれど、フランス人の想像する“家庭の味”なクレープは、とてもシンプルなものなのです。そのかわり、一人で3~4枚をぺろっと食べてしまいますけどね。

 我が家の場合は、主人がガレットとクレープでも有名な“ブルターニュ”出身であることから、けっこうな頻度でクレープを食べます。そのこだわりからというわけではないけれど、毎年この時期は息子の友人を呼んで“マルディ・グラ”パーティーを開催しているんですよ。

 息子の仲良しのお友達5~6人を招待し、みんなで仮装してひたすらクレープを食べて遊ぶ! という、そんなシンプルな会ではありますが、毎年息子はもちろん、友人たちもとても楽しみにしてくれています。

 最後に、我が家で作る“ブルターニュ地方”クレープのレシピをご紹介します。

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みんなの暮らし日記ONLINE 2021/02/22 12:00
2021/02/22 12:00 /article/detail/3951