牛の頭ドーン! カエルも食材! 大胆すぎるフランス料理番組

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2021/03/02 05:00

お料理番組は見ているだけで楽しいものですが、フランスの料理番組はどんな感じなのでしょうか? パリで暮らすマダム愛さんがレポートしてくれました。

フランスの料理番組が楽しくて

 今の主人と東京で出会い、結婚するためにフランスに渡った私。渡仏当初、フランス語は完全に宇宙語で、“ぼじょぼじょぼじょぼじょ……”と何を言ってるんだかさっぱりわからず、日々冒険でした。

 そんな私の小さな楽しみは、フランスの料理番組を見ること。

 ほら、料理番組って、言葉がわからなくてもフィーリングで楽しめるんですよね。

 フランスは言わずと知れた料理大国。フランス料理は世界中で高級料理として楽しまれており、日本でももちろん簡単に食べることができる有名な料理のひとつ。

 そんなフランスでの料理番組、さぞかしすごいのでは!? と思ったら、いやね、本当にすごいんですよ!

料理人に対してのリスペクトがすごい!

 まず、最初に何に驚いたかというと、フランスの有名シェフたちの地位の高さ。

 世界の最高峰であるフランス料理を生み出した国、フランス。そして人々がおいしいものをこよなく愛する国、フランス。なのでその料理界のトップに君臨する「グランシェフ」と呼ばれる人たちは、まるで神様のように皆にあがめられております。ミシュランで星を持つシェフたちは、度々TV出演し、書籍なども多数出版しているのです。

 もともとフランスは旅行で何度も訪れていた場所で、とてもグルメな街なのは知ってはいたのですが、日本に比べて“料理界”というのが圧倒的に強い国だなと、住んで実感しました。

 なので、料理人を目指す人がフランス留学をするのには妙に納得。料理が好きな私は、フランスに行ったら趣味で料理を習いたいな~くらいに軽く考えていたのですが、この国の料理界は私みたいな素人が入り込む世界ではないなと尻込みしたくらいです。

料理番組も大人気

 そんなフランスの料理番組の中で、多分いちばん有名で人気と思われるのが、M6という放送局で2010年より放映されている『TOP CHEF』という番組。もともとは2008年からアメリカで放映されていた『TOP CHEF』のフランス版です。

 これは、料理の腕を競うコンテストで、誰にでも出場権があるのですが、まずは地域ごとにコンテストを行い出場者を絞ります。そして選ばれた上位の人たちがTVの中で毎回さまざまなテーマに沿った料理を時間内に作り、審査員に食べてもらい、毎回1人ずつ落選していき、最後に残った1人が優勝!という、そんな番組です。

 誰でも出場する権利があるので、まだ10代の見習いの学生から、既にミシュランの星を獲得しているシェフまでさまざまな人たちが参加をしているのが特徴です。

 番組の内容だけ聞くと、ものすごくシンプルでどこにでもありそうな感じの番組ではあるけれど、やっぱりここはフランス! と思うのが、まずはその審査員や特別ゲストの豪華さ。世界でも有名な三ツ星シェフのグランシェフが登場してテーマを与えたりします。

 これはおもしろい~!と思ったのが、審査員が全部暗闇で顔を隠して登場した会。このときの審査員たちは、ミシュランの調査員たちだったのです。そう、レストランにこっそりと行き星をつける、あの調査員たち! そのため、顔出しはNG。顔の部分だけ隠した状態での試食会となりました。

 また、会場もTVのスタジオだけではなく、フランスの最上級ランクのホテルを指す「パラス」に認定されているホテルを利用したり、時には畑で、時にはお城で! なんていうのも、とてもフランスらしいなと思うのです。

丸鶏、牛の頭、カエル……食材が大胆!

 ただ、私として、ちょっと抵抗があるフランスらしさが、食材をプレゼンテーションする時の大胆さ。

 日本の場合、用意されるお肉とかは既に下処理されているものが多いと思うのですが、フランスの場合は鶏などはそのままの姿で“食材”として並ぶことがあります。

 1度、三ツ星シェフが選んだテーマが“牛の頭”で、本当に牛の頭が食材として皆の前に出てきた時には、失神しそうになりましたよ。さすがにこれには、挑戦者たちも苦笑いしてましたけどね……。

 挑戦者たちの選ぶ食材や料理にも、ドキッとすることがあります。

 例えばフランス、“カエル”が高級食材として、よく出てくるんですよね。さすがに、ぴょんぴょん跳ねている状態から料理する姿は見たことがないけれど、日本人としてはどうしても抵抗があります。

 もうひとつ、フランスで有名な物といえば“エスカルゴ”。ご存知の方も多いかと思いますが、“カタツムリ”のことです。ブルゴーニュ地方で有名なこのお料理は、たっぷりのパセリが入ったガーリックバターと焼いていただくのが普通なのですが、それではオリジナリティがない! と、とある挑戦者は“エスカルゴのタルタル”なんかを披露(つまり生です)。私としてはちょっと血の気が引きました……。

 でも、料理界の人たちは、より新鮮な食材を求めるために、こういった食材を見る目を養うのも大事な仕事ですし、このような食材から料理できないと、シェフとは認められないのかもしれません。

 そもそも近所のマルシェでは、案外丸ごとでお肉が売られていることがあり、おいおい、勘弁して~と思うことがあるので、フランス人にとっては普通のことなのかもしれません。でも、東京生まれ東京育ち、お肉はスーパーで切り身を買っていた私には無理~。さすがフランスの料理人たち~!と思うのです。

 これほど大きな大会に参加し、上位に残ると、その知名度は一気に上がり、フランスでの有名なシェフになることができるし、実際に毎年この中から何人ものミシュランシェフが生まれているので、かなり本格的な料理対決番組です。

 この料理番組、今では、パティスリーバージョンやパンバージョンも制作され、毎年放映されております。どれもこれもとってもおいしそうで、毎週わくわくしながら見ております。

有名シェフがリモートで料理レッスン!

 もうひとつ、ここ最近始まった料理番組で、有名シェフがリモートで料理をする番組も人気があります。

 オンラインでさまざまな人とつながり、一緒に料理をしていくのです。

 これは、コロナの影響で始まったのですが、あらかじめ必要な食材が知らされるので、準備をしてテレビの前で待っていることができます。

 そして夕飯の前に放映されるので、視聴者もシェフと一緒に作れば、その日の夕飯が準備できるというシステム。そのせいか、食材は全部、スーパーなどで簡単に手に入るもののみ。使用する食材の種類も少なく設定されています。なかなかおもしろいコンセプトですよね。

レストランの食べ歩き番組は少ない

 、日本に比べると案外少ないな、と思うのが、レストランの食べ歩きをするグルメ番組。日本は毎日のようにどこかのチャンネルでおいしいお店が紹介されていますが、フランスではタレントが食べ歩きをしたり、レストランを紹介していく番組は少ない印象です。

 これはもしかすると、人気があるお店には並んででも食べたくなる日本人の国民性と、おいしくて人気があっても、並ぶくらいなら食べなくてもいいし、自分のお気に入りのレストランとカフェがあればそれで十分というフランス人の国民性……、いや、むしろ、皆が好きなものは好きにはならない、自分だけが好きな物にこだわる国民性の違いが表れているのかな、なんて思ったりするのです。

 こうしてレストランが閉まっている中、テレビでおいしそうな料理番組をたくさん楽しんでいる私。早くレストランが再オープンするのが本当に待ち遠しい日々なのです。



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