【冷水希三子さん】大切にしている「しんどくない料理」への想い

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2021/03/29 12:00

特別な食材を使っているわけでもないのに、見る人の心を惹きつける一皿。料理家・冷水希三子さんの連載最後は、冷水さんの食に対する姿勢から、彼女が手がける料理の魅力の秘密を紐解きます。

▼目次

洋雑誌と「シェ・パニーズ」の世界観に憧れて

写真/江原隆司(「ハーブのサラダ」より)
写真/江原隆司(『ハーブのサラダ』より)

 冷水さんが料理の世界に足を踏み入れたのは、20代前半のころ。最初は料理家ではなく、フードスタイリストを目指していたそうです。

 「大学時代に『VOGUE』などの洋雑誌をよく読んでいて、特に料理のページが好きだったんです。ステキな食卓の風景に憧れて、フードスタイリストを志し、専門学校に通いました。料理家とフードスタイリスト、今は兼業している方も多いですが、当時はまったく別の職業という扱いで、学校で料理を教わることもほとんどありませんでしたね。

 本格的に料理に取り組みだしたのは、専門学校を卒業後、知り合いの飲食店の調理と接客を任されたことがきっかけでした。今考えれば、仕事として料理を人に提供した経験もないのに、無謀なことをしたと思います(笑)。そこで2年間働いた後、ご縁があって、奈良の山奥にある旅館で調理のお手伝いをさせてもらいました。おばさまが一人で切り盛りしている小さな料理旅館で、近くを流れる湧き水を使って料理するんですが、その水がとにかくおいしくて。良い水と、良い環境で育った食材を使って丁寧に料理することの大切さを学ばせていただきました」

 冷水さんが働いていた奈良の旅館は「料理がおいしい」と評判で、出版関係をはじめとするクリエイターの人たちも多く訪れる場所でした。そこで、料理とスタイリングができる冷水さんにオファーがかかり、今のお仕事につながっていったそうです。

 「今から20年くらい前の当時は、料理とスタイリングのどちらもできる人が少なかったんです。料理だけ、スタイリングだけの知識しかなかったら、今の私はなかったかもしれないですね。当時、すごく憧れていたのが、『シェ・パニーズ』のアリス・ウォータースさん。『シェ・パニーズ』は、70年代にアメリカにオープンした有名なレストランで、その創業者であるアリスさんは、地産地消やオーガニックという分野の先駆け的存在です。食に対するマインドはもちろん、彼女のスタイリングも本当にステキで。もともとフードスタイリストを志していたこともあり、味はもちろん、料理の見た目や食卓の世界観も大切にしています」

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