「からだにうれしいごはん」をモットーに料理研究家として活動をしている鹿沼聡美さん。20代の頃は体調を崩しやすいのが体質だと考えていました。しかし、食べるものを変えるなかで体も改善され、料理も変わっていったそうです。

体調不良が当たり前でした。

――昔からお料理がお好きだったのですか?

ある日の朝ごはん。きくらげとにら/豚肉の生姜塩麹炒め/醤油麹納豆/しめじと新玉ねぎのお味噌汁/発芽米ごはん。
ある日の朝ごはん。きくらげとにら/豚肉の生姜塩麹炒め/醤油麹納豆/しめじと新玉ねぎのお味噌汁/発芽米ごはん。

 実は、料理という料理はほとんどしないまま大学を卒業しました。社会人になって一人暮らしを始めても仕事と最低限の家事で、精一杯な毎日。ご飯を買って帰宅して、ササッと食べてテレビを見ながら寝落ちしてしまう……なんてことが日常茶飯事でした。

 だからでしょうか、当時は風邪を引きやすかったり、無理をすると動けなくなるほどの腰痛になったりしていました。でもそれが当たり前で、体質だから仕方ないと思っていました。

 わたしの父は食事療法が欠かせない病気でしたので、幼い頃から栄養成分については家庭でもよく話題に出ていました。そのため、栄養に気を配らなければ……という気持ちはいつも頭の片隅にありました。けれど、あの頃は、コンビニと24時間営業のスーパーに頼りきりでしたね。

 社会人生活が長くなり、転職や異動を経て少しずつゆとりが出てきたので、お弁当作りを含めて、自炊に励むようになりました。わたしが料理をまともにし始めたのは、この頃からです。

 でも、ある日、急に腹痛が酷くなったと思ったら病院で「ノロウイルス」だと診断され、会社に行けなくなってしまったんです。食事にも自分なりに気をつけていたにも関わらず、です。とてもショックでした。

 同時に「わたし、このままじゃダメなんだろうな」という気持ちが、自分でも不思議なほど強くなりました。とはいえ、何から始めたら良いか検討もつきませんでした。なぜなら、それまでも体質改善をしようと色々な方法を試みては、効果を感じられないままやめていたからです。「自分が体質改善できるわけない」と、頭のどこかで考える自分がいました。

 そんな中、一冊の本と出会い「食材そのものの質を重視する」という視点を学びました。それまでは、カロリーや栄養価といった数字ばかりを重視しがちでしたが、素材に目を向けるようになったんです。

 どんな風に育った野菜? どんな環境でどんな餌を食べた鶏? どんな素材から、どんな工程で作られた調味料? 原材料表示の意味や役割って何?

 本を次々に読みながらノートに書いて勉強し、買い物に行っては原材料表示を読みながら購入を決めるように努めました。すると、パッケージやイメージで選んでいた頃とは、見えていた世界が驚くほど変わっていったのです。

 安心で、作り手の愛を感じられる食材は調理に手間をかけなくても、そのまま食べておいしいのはもちろん、塩を振るだけでご馳走になるんですよ。自然と調味料の種類が減り、調理の手間が減り、自分で作る料理が日に日に美味しくなっていきました。

 その後、結婚をして毎日の食卓を撮影しては、SNSをアルバム代わりにするようになりました。それがきっかけで、これまで勉強したことをご紹介したり、ホームパーティーや料理教室を開くようになりました。食と関係ないようで、色々な経験が、すべて生きているのが不思議ですね。

“続けられる範囲”が大切だと思います

――鹿沼さんの考える「からだにうれしいごはん」はどのようなものですか?

紅鮭の灰干し焼き/新じゃがとこんにゃくの煮物/出汁昆布とじゃこ、きゅうりのだし風/舞茸と新玉ねぎのお味噌汁/発芽米ごはん
紅鮭の灰干し焼き/新じゃがとこんにゃくの煮物/出汁昆布とじゃこ、きゅうりのだし風/舞茸と新玉ねぎのお味噌汁/発芽米ごはん

 食事は「こころ」にとっても、非常に大きな役割をしています。栄養があれば満たされるかといったら、そうではなくて、どんな気持ちで食べるか? どのような雰囲気で食べるか? もとても大事だと考えています。

 ですから、「からだに良い」からといって、「おいしくない」と感じていたり、「食べたくない」と思っていたら、食事そのものがストレスになってしまいます。食事は人生の大事な要素のひとつですから、楽しくしたいですよね。

 そのため「からだにうれしいごはん」には、とても大事にしている優先順位があります。

  1. おいしいこと
  2. つづけられること
  3. からだによいこと

 上から順に優先度が高いものです。食事は日々の積み重ねが大事です。手に入りにくい食材や、ハードルの高い調理方法、高すぎる食費では続かなくなってしまいます。

 食べたものから少しずつ細胞が、そしてからだがつくられていくことを考えたら、一時的にからだによいものを食べても続かなければ意味がありません。ですから、優先順位を間違わないことがなにより大事だと考えています。そうすれば、自然と続いてしまうと思いますよ。

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