イギリス人は、食より住。そこに住む自分達が好きな物に囲まれて暮らすことを一番に、自由にのびのびと楽しみながらインテリアを作り上げるのだとか。イギリス在住のMarchさんがレポートしてくれました。(イメージ写真=iStock.com/AndreaAstes)  

イギリスならではのインテリアの特徴4つ

 イギリス人の住まいやインテリアにかける関心はとても高いです。「衣食住」でいうと、一番に大切にしているのが住環境、そして最後に食事なのではと思うほど。

 テレビ番組もDIY番組や不動産番組などが多く、またインテリア雑誌の種類も豊富で、あちらこちらで開催されるインテリアのイベントの多さなどからもいかにイギリス人が住環境を大切にしているかがわかります。

 そんなイギリス人のインテリア好きを表すイベントの一つに毎年9月に行われる「オープンハウス」というものがあります。これは通常一般の人が入れない建築物や自宅を一般の人に無料で開放するイギリス国内でも有名なイベントです。

 また、それとは別に、私が毎年参加している「ハウスツアー」というイベントがあります。これはインテリア雑誌の企画によるもので、インテリアが素敵な一般住宅を一日だけ拝見できるというインテリア好きにはたまらないツアーイベントです。

 今回も実際に住居として使われている一般の方のお家6軒を見学させていただきました。

 そこであらためて感じた、イギリス人のインテリアの特徴をピックアップしてみました。

1.「無難」なものを選ばない

 今回訪問した6軒の御宅はそれぞれ好きなインテリアテイストは違っていたものの、「無難」に選んでおきました的なテイストは一切なく、それぞれが「好き」を集めてみました。という感じのインテリアに仕上がっておりました。

壁の色をダークなペンキで塗ったインテリア。思い切った色使いでお部屋がドラマティックな印象に・・・・。

壁の色をダークなペンキで塗ったインテリア。思い切った色使いでお部屋がドラマティックな印象に。

ゲスト用トイレに使われた何とも個性的な壁紙と不気味なお人形がさらに個性を強めています。

ゲスト用トイレに使われた何とも個性的な壁紙と不気味なお人形がさらに個性を強めています。

 イギリス人は「無難」な白やベージュのカーテンや壁紙は使わず、自分が好きなテイストを追求しています。

2.常識にとらわれない

 イギリス人のインテリアを見ていると「常識」にとらわれず、飾りたいものを飾る。使いたいものを使っているなと思いました。

 家のサイズとは無関係に設置された大きなシャンデリアや、照明は一部屋に一つという概念がなく、ドラマティック性を重要視しているかのよう。

 実用性よりも見た目の印象(しかも、ゲストをあっと驚かせるのが目的のような)で、置かれているように見受けられます。

部屋に一個で十分と思われる美しいシャンデリアが贅沢にも至近距離で2個設置されています。照明そのものの実用性よりインテリアとしてのドラマ性を演出。
部屋に一個で十分と思われる美しいシャンデリアが贅沢にも至近距離で2個設置されています。照明そのものの実用性よりインテリアとしてのドラマ性を演出。

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ダイニングテーブルの上にぶら下がった大きなシャンデリア。部屋の真ん中ではなく、ダイニングテーブルの設置された部屋の片側に設置されているところもポイントです。
ダイニングテーブルの上にぶら下がった大きなシャンデリア。部屋の真ん中ではなく、ダイニングテーブルの設置された部屋の片側に設置されているところもポイントです。

3.好きな物であふれている

 イギリス人はよく新しく移り住んだ家に「自分のスタンプを押す」という表現を使います。

 イギリス人のお家はどちらかと言えば、好きな物であふれかえっていてごちゃごちゃとしたイメージがあります。

 このスタンプを押すという表現は、自分の家を自分の好きな物や好きなテイストに変えていくことによって、自宅が自分達のテリトリーとなっていくという意味合いで使われているようです。

 前述のように「無難」な選択をしないので、いつのまにか自分好みの物ばかりが集まり、ごちゃごちゃとしながらも統一感のあるお部屋になっているのではないかと思われます。

子供部屋。たくさんの色使いにおもちゃなどが置かれていますが、ごちゃごちゃした中にも「好きな物」への愛着が感じられるお部屋に……。
子供部屋。たくさんの色使いにおもちゃなどが置かれていますが、ごちゃごちゃした中にも「好きな物」への愛着が感じられるお部屋に……。

4.遊び心を忘れない

 イギリス人はもともとユーモアセンスに長けた人種だなと思うことがしばしばあるのですが、思い切りお腹を抱えて笑ってしまうようなユーモアではなく思わずクスリと笑ってしまうようなウェットに富んだ遊び心を持っています。

 そんなところがインテリアのあちらこちらにも見受けることができました。

 自宅はその人それぞれのスタンプ(=自分らしさ)を表す場所であるというのが納得です。

お庭に置かれていた拳銃を持ったイエス・キリスト像。エリザベス女王など王室のパロディグッズも多く売られているイギリスならではで、キリスト像もこんなパロディ風なインテリアの一部に……。
お庭に置かれていた拳銃を持ったイエス・キリスト像。エリザベス女王など王室のパロディグッズも多く売られているイギリスならではで、キリスト像もこんなパロディ風なインテリアの一部に……。
自宅地下に作ったバーカウンター。ポップな壁がまるでお店のようです。
自宅地下に作ったバーカウンター。ポップな壁がまるでお店のようです。
今回回った6軒のうち2軒がユニコーンを壁に飾っておりました。(もちろん本物のユニコーンではありません。どちらも馬の剥製に角をつけたものでした。動物好きとしてはちょっと微妙なテイストです……)

今回回った6軒のうち2軒がユニコーンを壁に飾っておりました。(もちろん本物のユニコーンではありません。どちらも馬の剥製に角をつけたものでした。動物好きとしてはちょっと微妙なテイストです……)

 ――今回の6軒の一般住宅に、共通して言えることは、皆さん、家づくりを楽しみ、そしてそこで生活することをまた楽しんでいるということ。

 「無難」だからとか、「流行っているから」とかそういった周りの目を意識した家づくりは一切しておらず、そこに住む自分達が好きな物に囲まれて暮らすことを前提に自由にのびのびと楽しみながら作り上げたことが伝わってきます。

 そして、それが他人から見てどう思われるかは二の次で、ひたすら自己満足的「私達のおうち、素敵でしょう?」という純粋無垢な喜びがそこにあるように感じました。

 もし、皆さんがこれからインテリアを考えるのであれば、「無難」な選択は辞めて、本当は好きだけどさまざまな理由で諦めてしまった物をもう一度手に取ってみてはいかがでしょうか?

 そしてそこで暮らす自分を想像してみて下さい。ワクワクしてきませんか? 毎日の生活をドラマティックに変えてくれる。インテリアにはそんな力があると思います。

Writer PROFILE

  • イギリス在住13年。おもてなし教室「Atelier Curious March ~アトリエ・キュリアス・マーチ~」を主宰。来てくれたお客様が楽しいと思ってくださる時間を提供することが何よりの楽しみです。人生は一度きり。遊び心をいくつになっても忘れずに日々を楽しく過ごせたらと日常に非日常のワクワクをプラスするアイデアをご提供させていただいております。

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