翻訳家・森嶋マリさんのおいしい話

元気が出る「タコス」。味の決め手は?

私がタコス好きになったきっかけ

 なぜ、私がこれほどタコスを押しているのか、不思議に思われている方もいらっしゃるかもしれません。

 タコス好きになったきっかけは単純明快。野菜がたくさん食べられるから、という理由でした。

 かつて、アメリカの南西部の大自然に憧れた時期があって、暇を見つけては何度も旅したことがありました。

 おしゃれなレストランがある大都会であれば、野菜たっぷりのヘルシーな食事もできますが、私が目指したのは、雄大な自然が眺められる国立公園とその近辺の小さな町。当時、そういう町で食べられたのは、いかにもアメリカンな食事でした。具体的には、ステーキ、ハンバーガー、ピザ、パスタ。つけあわせは、見ただけでおなかがいっぱいになりそうな山盛りのフライドポテト。もちろんサラダも注文できましたが、メインディッシュとフライドポテトを食べたら、サラダを食べるおなかの余裕はありません。

 ならば、フライドポテトを残して、サラダを食べればいいんじゃない? たしかに、そうですね。ときにはそういうこともしちゃいました。でも、そもそもが貧乏性なのか、戦中育ちの親から「食べ物を残してはいけません」としつけられたせいなのか、たとえ山盛りのフライドポテトでも、できるだけ食べなくちゃと、妙な義務感を抱いていたのです。

 そんな食事が続いたときの強い味方が、タコス。肉やチーズと一緒にレタスとトマトがたっぷり入ったタコスを食べるとようやく、「野菜不足解消!」という気分になれたのでした。

 そんなふうにして、何度目かのアメリカ大自然の旅で、私のタコス好きを決定づける一品に出会いました。

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