翻訳家・森嶋マリさんのおいしい話

元気が出る「タコス」。味の決め手は?

野菜も肉も好きなだけはさめるタコス

 その後も、機会があればすかさずタコスを食べていた私ですが、あるときもう一度驚きの真実を知ることになりました。と言うと、ちょっと大げさですね。実は私、それまでずっと自分が食べているタコスを、メキシコ料理だと思いこんでいたんです。

 いえ、もちろんタコスはもともとメキシコの食べ物です。でも、アメリカで食べていたタコスは、実はテックスメックスという料理(テキサス風メキシコ料理)だったのです。

 テキサスといえばアメリカ南部の州ですが、かつてはメキシコの一部でした。その後、1836年にテキサス共和国として独立して、1845年にアメリカ合衆国に併合されたという歴史があります。アメリカでありながら、メキシコと深いつながりがあることを思えば、料理が独自の進化を遂げていったのも、うなずけます。

 メキシコのタコスとはちょっとちがう、テックスメックス料理のタコスの特徴は、ハードシェルと呼ばれる硬めのトルティーヤや、具に千切りのレタスやチーズを使うこと。まさに私が野菜不足解消として食べていたタコスでした。

 テックスメックス料理には、ほかにも有名なものとしてチリコンカーンがあります。日本では某コンビニエンスストアのヒット商品として知られるブリトーも、やはりテックスメックス料理です。

テックスメックス料理で有名なのはチリコンカン
テックスメックス料理で有名なのはチリコンカン
チリコンカンでタコスもおいしい
チリコンカンでタコスもおいしい

 さらに、テックスメックス料理のタコスが日本に伝わって、タコライスが生まれました。タコライス、ご存じでしょうか? ご飯の上に、タコミート、細切りのチーズ、レタス、トマト、サルサソースをのせて食べる沖縄の料理です。いまは、沖縄だけでなく、日本各地で食べられるようになっていますね。

 インドのカレーや中国の餃子が、日本で独自の進化を遂げたように、タコスも日本のおいしいお米と出会って、進化したと言えそうです。そう思うと、タコス押しの私としては、感慨ひとしお。食文化の不思議を実感しつつ、なんだかわくわくしてきます。

 メキシコ、テキサス、沖縄がタコスのキーワードだとしたら、共通するのは? もしかして「暑い場所」でしょうか。ということは、タコスはいまこのとき、夏にぴったりの料理かもしれません。

 野菜も肉も好きなだけはさめるタコスは、普段の食事にも、ちょっとしたパーティーにも、家族や仲間で楽しむキャンプにもうってつけです。おまけに彩りも鮮やかなので、インスタ映えもしますよ。

 タコス初心者なら、まずはタコスキットや市販のトルティーヤを試されるのもいいかもしれません。タコス上級者なら、手作りトルティーヤに挑戦するのもいいですね。いずれにしても、サルサソースはぜひとも手作りで。材料を切って混ぜるだけのお手軽さですから、瓶詰めのサルサソースを買いにいくより早いかもしれません。

 それでは、おいしいタコスをお楽しみください!

フレッシュサルサソースと鶏むね肉のタコス

サルサソース

※サルサ・メヒカーナという基本のソースです。

【材料(4人分)】

 完熟トマト 2個

 タマネギ(できれば紫タマネギ) 1/4個

 ピーマン(またはパプリカ) 1/4~1/2個

 生または酢漬けのハラペーニョ(なければ乾燥赤唐辛子) 1/2~1個

 ライム(なければレモン)の搾り汁 1/2個分

 塩 少々

 コリアンダー(お好みで) 少々

【作り方】

 1.トマト、タマネギ、ピーマンを大きめのみじん切りにする

 2.ハラペーニョの種を取り、みじん切りにする

 3.1と2を合わせて、ライムの搾り汁、塩をくわえて、よく混ぜ、冷蔵庫で1時間以上寝かせる

 4.器に盛ったら、お好みでみじん切りにしたコリアンダーをちらす

 *ハラペーニョはとても辛いので、慣れていない方は控えめに。辛いものが得意なら、お好きなだけどうぞ。

鶏むね肉のタコス
鶏むね肉のタコス

タコス

【材料(4人分)】

 鶏むね肉 1/2枚

 トルティーヤ 8枚

 レタス 3枚ぐらい

 細切りチーズ(生食用) 大さじ4

 サルサソース 上記のレシピ

【作り方】

 1.鶏むね肉を茹でて、食べやすい大きさに裂く

 2.トルティーヤを熱したフライパンで焼き(軽く焦げ目がつくぐらいに両面を焼きます)、布巾に包んで蒸らしておく

 3.レタスを千切りにする

 4.トルティーヤの上にレタス、鶏肉、チーズをのせ、サルサソースをかけたら完成

 *トルティーヤはコーントルティーヤがお薦めですが、慣れていない方はフラワートルティーヤのほうが食べやすいかもしれません。

 *コーントルティーヤは冷めると固くなるので、焼き上がったら、食べる直前まで布巾に包んでおきましょう。

 *フラワートルティーヤは固くなりにくいので、ふきんで包まなくてもOK。

フラワートルティーヤの作り方

 【材料(10枚分)】

 強力粉 125g

 塩 小さじ1/2

 植物油 大さじ1/2

 水 75gぐらい

 【作り方】

 1.ボウルに強力粉、塩、植物油を入れて、ホイッパーなどで混ぜる

 2.水を少しずつくわえて、軽く捏ねる(耳たぶぐらいのやわらかさになるように、水の量は調節する)

 3.生地がまとまったら、10等分して、丸める

 4.台の上にクッキングシート敷き、丸めた生地を置き、もう1枚のクッキングシートをかぶせ、麺棒で生地を丸く、薄く伸ばす

 5.熱したフライパンで両面を焼く

 (4と5を10枚分繰り返す)

Writer PROFILE

  • 森嶋 マリさん

    ブログ:「Single KitchenでSweetsを」
    Instagram:@marin_to_sora

    東京在住の英米文学翻訳家。
    普段はその日の気分で食べたいおやつを作ります。家族や友人のバースデーやイベントには、がぜん張り切って、何を作ろうかと何日も前から考えるのも楽しみ。
    そんなときには、いつも以上に腕をふるって美しくて美味しいケーキを目指します。

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    ふじつぼさん
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    ginさん
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    上條ひろみさん
    翻訳者仲間のマリさんは、いつもすっと背筋が伸びていて、瞳キラキラ。 スポーツ万能のはつらつ美人です。しかもお菓子作りの腕はプロ級で、材料や器具はもちろん、テーブルセッティングやラッピングにもこだわる姿勢がすてき。 でも仲間内では「番長」! どんなに仕事に追われていても、ごはんとおやつには手を抜かない、毎日を丁寧に暮らすマリさんは、わたしの憧れです!

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