パリ在住のマダム愛さん。パリジェンヌのファッションチェックをしていて、驚いたこととは?(写真=iStock.com/davidf)

おしゃれなパリジェンヌ。でも実際は?

 パリに住んでいると言うと“パリジェンヌっておしゃれなんでしょ~?”なんてよく聞かれます。

 これは間違いなく雑誌の影響が大きいかと。おしゃれなパリジェンの特集を組んでいる日本の雑誌って非常に多いですよね。

 先日、日本に一時帰国していたとき、いつもの美容院に行ったら、愛さんならこちらを~と言って、パリ特集が組まれた3~4冊の雑誌を用意してくれておりました。

 どれも最近発売の新しい雑誌よ、なんて言われて、日本の女性たちのパリジェンヌに対する関心の高さに改めて驚かされました。

 そして、そう言えば私も日本にいるときはこういう雑誌で、パリの女性って素敵だな~と、ぼけーっと眺めていたことがあったな、と思い出しました。

 日本女性の憧れにもなっているパリジェンヌたち。

 そんなパリジェンヌにもまれながら生きている私。

 今の私の率直な感想は“パリジェンヌって、本当におしゃれでかっこよく見える~!!! でも実際は、日本人の方がちゃんと洋服には気を遣っているし、美意識は高いな”です。

飾らず、自然なのにかっこいいパリジェンヌ

 確かにね、パリジェンヌたちって、とってもおしゃれに見えるんですよ。

 無造作にまとめられた髪の毛とか、ぐるぐるに巻かれたスカーフとか、アンティークのバッグとか、ドキッとするようなド派手なピンヒールの靴とか。

 とにかくみなさん、飾らなくて自然なんだけど、どこかかっこいいって思える、個性的なおしゃれをされているのです。

 でも、なんというか、パリジェンヌのおしゃれって、パリジェンヌだからできるファッションな場合が多く、それを私たち日本人が真似して、日本の街で歩いたら“おしゃれ”といわれるかと言ったら、そういうわけではない感じ。

 むしろ同じ格好をしても、何あのファッション!と、笑われる可能性のほうが高いと思うのです。

パリジェンヌを真似してみたけれど……!

 まだパリに住み始めてまもなかった頃。

 冬に、髪を無造作に1つにまとめ、スカーフやマフラーをぐるぐる巻きにしてさっそうと歩くパリジェンヌのかっこよさにほれぼれし、これなら私にもできそう! さっそく真似しよう!と、パリのお店でロングスカーフを買って実践したことがあったのですが、私がやったら、頭でっかちのまるで“コケシ”状態。全然かっこよくないのです。

 そこで痛感。うん、パリジェンヌは顔が小さいからぐるぐる巻きでも絵になるし、足が細くて長く下半身がスラーッとしているから、上半身をがっつりさせてもかっこよく決まるんだな、と。

 そんなことがあってから、おしゃれだな~と思うパリジェンヌを見かけても、一定の壁をつくって客観的に見るようになった私。

 そうすると意外に彼女たち、おしゃれに全然気を使ってない!? と思えることをたくさん発見したのです。

穴あきタイツ、シミや毛玉も気にしない!?

イメージ写真=iStock.com/davidf
イメージ写真=iStock.com/davidf

 冬、寒くなるとタイツやストッキングをはくパリジェンヌをよく見かけます。しかし驚くことに、その多分、半分以上の女性のストッキングやタイツに穴があいているんです!

 最初は驚きましたが、あまりに頻繁に見かけるので、今では当たり前のことと思うようになりました。

 彼女たちにとっては単に、ストッキングやタイツは保温のためにはいているものであって、多少穴が空いていても、保温効果があればそれでOKなのでしょうね。

 それと似たような感じで、シミがついた洋服を着ている人も本当に多いです。毛玉だって気にしません。多少糸がほつれていても全く気にしません。

 でも、遠目はとってもおしゃれに見えるパリジェンヌたち。“パリジェンヌ”って肩書きの強さをしみじみ感じます。

 そんな彼女たちを見ていると、日本では絶対に履けなかった、着れなかった、そして捨ててしまった衣類たちを全部とっておいてパリに連れてきたら、日の目を見ることができたのにな~なんて思ったりもします。

壊れた傘も気にしないのは、モノを大切にしているから?

 そしてまた、壊れた傘をさしている人も多いのです。多少、骨が曲がっていても、穴が空いていても、雨をしのぐという役目を十分に果たしている以上、新しい傘は”必要なもの”リストには入らないんでしょうね。日本では少し雨が降っただけでコンビニで傘を買ったりしますが、そんな感覚もまたフランス人には皆無です。多少の雨ならささない人の方が多いくらい。

 (無造作ヘアのパリジェンヌたちは、髪が雨に濡れても気にしない。これまた”パリジェンヌの無造作ヘア”って書くとオシャレに聞こえるけれど、彼らの髪型って本当に本当で、単なる”無造作”なんですよ。洗いざらし、適当に1つに束ねる、そんな人たちが大半なんです)。

 これらのことって、オシャレかどうかの観点というよりも、以前もこちらの記事で書かせていただいた、物を大事にするフランス人気質というのがあるからなのかもしれません。

 パリジェンヌは実はあまり服を持っていないとかで大ヒットした本がありましたよね。あのタイトルを聞いたとき、私の中では半分納得、半分、嘘でしょ!?と思いました。

 なぜなら私のまわりのどのパリジェンヌたちもけっこうな数の洋服を持っているからです。でも、物持ちがよく、気に入ったらそれを何年でも着続けるので、じつはヘビーローテーションなのは10着くらいなのかもしれないな、とも思いました。服を捨てないから、たくさん持っているように見えるのかもしれません。

とにかく流行に流されないパリジェンヌ

イメージ写真=iStock.com/RossHelen
イメージ写真=iStock.com/RossHelen

 こんな感じで“オシャレの代表”ともてはやされているパリジェンヌを観察してみて言えるのは、とにかくパリジェンヌたちは流行に流されないファッションをしている、ということ。

 流行りの物などには目もくれず、自分が好きな物を持ち、好きなファッションをしております。

 なので、ヘビーローテーションの洋服が決まり、それほど数がなくても着回せてしまうし、自分に似合うのは何かを知った上でのセレクトなので、似合っているんでしょうね。

 そんな信念を貫いたファッションをし続けているので、自分にあったファッションを熟知していて、それがまた、オシャレに見えるのだと思います。

 私みたいに顔が大きい人は、ストールをぐるぐる巻きにしたりしないってことなのですよ。

日本女性が流行に敏感な理由

 日本の女性は、その時の流行りにとても敏感で、皆が持っているから持つ、買っているから買う、着ているから着るという人の方が多いかと思います。その流行が実際に自分の好みでなくても、それが今、一番かっこよくて美しく見えるファッションなんだよ、なんて言われると、そして周りの人がそのファッションをしていると、自分だけダサいと思われたくない! 同じファッションをしなくては! と思い、ついつい真似してしまうんですよね。なので日本人の方がパリジェンヌよりも流行に敏感ともいえるかもしれません。

 でも、そんな日本人のファッションって、実は自分のためではなく、周りからの目を気にしている部分があるのかな、とも思います。穴の空いたストッキングなんてはけないし、シミのついた服も着れなかったりしますよね。これもまた周りの目が気になるから、、、なんですよね。

 かく言う私も、日本にいたときは、まるで流行のファッション雑誌からそのまま出て来た?というくらい、その時その時に人気のファッションをしておりました。仲良しの友達皆が同じファッションをしていたので、集まるともう、なんかのチームみたいな感じ。髪型まで似てたりするから、完全に個性ゼロの集団でした。

 でも、流行のファッションをしておくのって、案外、楽、なんですよね。同じようにするだけで良いんですもの。

パリジェンヌに憧れてしまう、本当の理由

 日本の女性が、パリジェンヌのファッションに憧れを抱いたりするのは、もしかすると本当に心の底から”おしゃれだな~”と思っているわけではなく、自分の好きなファッションを着て表現できている、その自由さにかっこよさを感じているからなのかも、と、思います。

 オシャレをするのは流行を追うことではない。まずは自分を知ることなのだ。

 フランスに来てからは、本当にそう思うようになりました。

 もしパリジェンヌのファッションセンスに憧れている人がいましたら、真似をしようなんて考えず、まずはゼロになってみましょう。その上で自分が何を好きか、そして自分に似合うものは何かを考えてみるのが一番の近道で、それで行き着いた先のファッションこそが、まさにパリジェンヌ流のファッションスタイルなのだと思います。って、理屈ではわかっていても、これがなかなか難しかったりするんですけどね。